出版社内容情報
わたしにとって一番大事なのは、母に怒られないようにすること。
だけど、勉強や家の手伝いを、どれだけがんばっても、ほめてなんてもらえない。
どうしたら、お母さんはわたしを愛してくれるんだろう?
常に母の顔色をうかがい、苦しい毎日を送っていた中3の莉子は、
塾の帰り、長い黒髪の美しい少女・澪に出会う。
「あたりまえを強要されるのっておかしくない?」
学校に行かず、自由に生きる澪に莉子はひかれていく。
塾が終わると、駅前の「パレット広場」で澪と落ち合い、
夜9時半までのわずかな時間を一緒に過ごすようになった。
この気持ちに名前なんてつけられない。でも今は、澪といっしょにいたい。
かけがえのない存在となっても、莉子は澪に母との葛藤を言わずにいた。
ところがある日……。
内容説明
おかあさんに愛されるこどもになりたかった。母親の顔色をうかがい、「いい子」を演じている中3の莉子。「あたりまえが、正解とはかぎらない」と言う同い年の澪と出会い、衝撃を受ける。夜、『パレット広場』ですごす9時半までが、ふたりの特別な時間。莉子は、自由に生きる澪にどんどんひかれていって…。
著者等紹介
宮下恵茉[ミヤシタエマ]
『ジジ きみと歩いた』(学研プラス)で、第15回小川未明文学賞大賞、第37回児童文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる子
22
母親からの監視、言葉の暴力に悩む中学生の莉子。家庭は裕福だ。ある塾の帰りにパレット広場で綺麗な澪を見つけた。なんとか澪と知り合いになれた莉子。澪といるほんのひと時がこんなに楽しいとは✨しかしある日、澪の秘密を知ることとなる。あなたなら、毒親VS親の存在や愛を知らない。どちらを選ぶ?莉子の母親の毒気がすごっ!2023/10/12
史
5
一人で考えられるほど成熟しているのに、一人では生きていけない。それが思春期というものである。悩み語らい、それは苦しみでもある。その分厚い心の壁を打ち壊すのは、変化であり、誰かである。ガール・ミーツ・ガールであり、どうしようもなく青春。はるかっちが魔法使いのようだけども、案外それもまたよし。好きですねえ。2024/02/05
dora_865
4
ガール・ミーツ・ガールの物語で、過程は少しキツイものの、結末は希望に満ちています。2024/03/03
色素薄い系
4
誰がどんな事に対して悩んでいるのか、それは外側からは分からないし他人と比べてマシなのかそうじゃないのかを判断する必要はないと思うんだよね。○○されていないだけマシだとしても自分は確実に疲弊している訳だし。莉子も澪も結局根本的には何も解決していないけどお互い出会った事で良い刺激になり今までは存在しなかった道を選べるようになったのは大きいと思う。莉子はお兄さんに連絡とってみたら両親の件で味方になってくれたりしないのかなぁと思いました。2023/11/24
芦屋和音
4
中3の莉子は支配的な言動をする母に脅えながら暮らす。ある日、塾帰りに美少女の澪に出会い……。あえて母側の感想を述べると、莉子の母はフルタイムでバリバリ働いて家事育児を外注した方が家族も幸せになれるのでは。自分の心を満たすことができないという呪いに母自身もかかっているため、子も満たされなくなってしまう😢欠けているピースは外から見えないもの。莉子が澪との出会いで考え方が変わり、また澪も莉子に救われる所が良かった。「金色の折り紙」の表現が素敵でした✨2023/11/16