出版社内容情報
「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か。
累計100万部突破! 「理瀬」シリーズ初短編集
ゴシック・ミステリの金字塔。
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
・水晶の夜、 翡翠の朝
・麦の海に浮かぶ檻
・睡蓮
・丘をゆく船
・月触
・絵のない絵本
内容説明
湿原に浮かぶ檻、と密かに呼ばれていた全寮制の学園。ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、月夜に思いを馳せる聖、そして水野理瀬の現在。理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
327
理瀬シリーズのスピンオフ短編集という事ですが私は未読ですので中々に難しい読後感ではありましたが、とことん理詰めではない著者の妖しい雰囲気と魅力に触れられたのは良かったです。恩田陸さんが愛着を感じて書き継がれているシリーズの既刊を今後読んで行きたいと思いますね。童謡の見立て殺人の不気味で残酷なムードと予想をひっくり返されるショッキングなどんでん返しの物語が強烈な毒を感じさせ印象的でしたね。ファンタジックでミステリアスな西洋風で日本人離れした世界観の物語にどっぷり浸りたいと思いますね。#NetGalleyJP2024/04/05
starbro
296
恩田 陸は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。ゴシック・ミステリ「理瀬」シリーズ初短編集、オススメは、「水晶の夜、 翡翠の朝」&「麦の海に浮かぶ檻」です。 「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か、装幀もGOODでした。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003808162024/03/02
さてさて
259
『陸の孤島。優雅な檻。この学園から出ることはとても難しい』。『麦の海に浮かぶ城』とも比喩される全寮制の『学園』を舞台にした雰囲気感豊かな〈水晶の夜、翡翠の朝〉など6つの短編が収められたこの作品。そこには、”「理瀬」シリーズ”どっぷりな世界が描かれていました。恩田陸さんのさまざまな側面に魅せられるこの作品。そんな作品の最後を飾る短編〈絵のない絵本〉に登場する『理瀬』の存在感の大きさを改めて感じさせられるこの作品。今度は、”「理瀬」シリーズ”の長編を読んでみたい!そんな思いが沸々と込み上げてくる短編集でした。2024/02/04
パトラッシュ
253
恩田陸という作家のすごいところは、異なるジャンルでも一流の成果を出せること。ミステリ、SF、ファンタジーにジュブナイル、シリアスからコメディに至るまで、各分野の垣根を軽々と越えて専業作家以上の作品を書いてみせる。本書はファンタジーとホラーのブレンドに、スパイ物のオリーブを飾ったカクテル風の逸品。基本の風味はドライだが、ジンとベルモットの比率を変えたりウオッカやテキーラを使ったりカシスを加え、飲み手が飽きないよう工夫している。北国の湿原に浮かぶ学園にふさわしく、様々な味を楽しむバーテンダーの腕を堪能したい。2024/02/23
モルク
156
理瀬シリーズ短編集。湿原にある訳ありの生徒が暮らす全寮制の学校。世間の荒波にあてたくない生徒の「ゆりかご」芸術、スポーツなど秀でた才能を持つ「養成所」親と一緒に暮らすことができず存在すら世間から隠されている、ここから出てこないでほしい生徒の「墓場」の3種類の生徒に分けられる。ヨハン、聖、校長など懐かしい人物が…そしてこの独特な陰鬱な世界に引き込まれていく。あぁそうだった、そうだった。この世界だよ。今正に思い出す。イラストも、そうそうこれこれ!暫しその世界に浸る…2024/04/18