出版社内容情報
母を亡くし、義母と義姉に迫害される生活を続けてきた春日部莉子。
ある日、姉にひどい折檻を受けると、姉が酒呑童子という鬼の嫁に指名されたと知る。
酒呑童子の嫁は、「お披露目」という一年に一度の祭りを境に全員姿を消す。
人喰いと噂の立つ酒呑童子への嫁入りを拒む姉は、莉子に自分の代わりに嫁入りをしろと言い渡した。
白無垢を身につけ、顔が見えないようひっそりとお屋敷に向かった莉子。
しかし、酒呑童子は第一声、「俺が欲しかったのは、端からおまえだ」。
愛を知らなかった莉子は、人喰い鬼のもとで初めて愛を知っていくーー。
内容説明
母を亡くし、義理の母と姉に虐げられて育った莉子。京都陣で最大の祭りが始まる日、姉に縁談が来る。嫁入りした女を喰い殺す、と恐れられる酒呑童子からだった。莉子は身代わりを命じられ、死を覚悟して屋敷に向かうが、「俺が欲しかったのは、端からおまえだ」と抱きしめられ―?いつか喰われてしまうのか。それとも本当の愛なのか。この世で一番美しい異類婚姻譚、開幕。
著者等紹介
綾里けいし[アヤサトケイシ]
2009年『B.A.D―繭墨あざかと小田桐勤の怪奇事件簿』(刊行時『B.A.D.1繭墨は今日もチョコレートを食べる』に改題)で第11回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞を受賞し、翌年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
30
五大アヤカシが力を持つもうひとつの日本。母を亡くし義母と義姉に迫害される生活を続けてきた春日部莉子が、指名された義姉の身代わりとして酒呑童子という鬼の嫁に嫁ぐファンタジー。嫁を食い殺してしまっているのではと言われる相手に、ひっそりとお屋敷に向かった莉子に掛けられる「欲しかったのは、端からおまえだ」という酒呑童子の言葉。愛を知らなかった莉子が自分を認めてもらえて、一途に大切にしてくれる彼のもとで初めて愛を知っていって、たとえ何があっても変わらない愛を誓える揺るぎない二人の絆がとても優しくて素敵な物語でした。2023/08/12
椎名
10
わかりやすく王道なシンデレラストーリー。自分はあまり少女小説を読まないことと作者の文章が好きなため楽しく読めたが、これ系を読み慣れている人だと物足りなさがある可能性は高い。しかし花嫁の【お披露目】、そして【魅せ合い】というお祭りは華やかで美しく、想像を掻き立てられた。いつまでも幸せに暮らしましたとさ、で終わるのもたまには良い。2023/08/16
みどり
10
どっかで読んだようなお話ではあるが、この作家さんらしい語り口と文章で、とても「いい話」になっていた。 実はこの作家さんは「後味が悪い」ほうがわたし的には好みなのだけれど、めでたしめでたしも悪くはない。2023/08/11
色素薄い系
6
うん、なんか無難な異類婚姻物だったかなと思う。魅せ合いという他のアヤカシに嫁いだ花嫁達の見せ場があるのは新鮮な設定だったと思うけど、莉子を虐げていた側の背景がよく分からなくて薄かったなぁと。元凶の父親なんか全く出て来なかったし…個人的には最初からデレMAXには鉄壁の防御が発動するので酒呑に関しても例に漏れず。というかこういう系統はほぼ最後までヒロインを求めた理由が分からないので分からないままひたすらデレられても「え?なんで?」の方が先に来てしまって何も感じないんですよね。2023/09/18
Pustota
5
恐ろしい噂のある鬼に嫁ぐことになった莉子。不幸な生い立ちでも優しさと芯の強さを失くさない彼女の健気さが素敵。他のアヤカシとそれぞれの嫁もみな魅力的。普段読まないジャンルのお話だけど、幸せな気持ちになれて楽しかった。2023/09/12
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