出版社内容情報
芥川賞受賞の鮮烈デビュー作、待望の文庫化。
あの日行方不明となった彼が、ドイツの私の元を現れる。
忘却に抗う言語芸術の傑作にして、鮮烈なるデビュー小説。
第165回芥川賞受賞作
第64回群像新人文学賞受賞作
ドイツの学術都市ゲッティンゲンに暮らす私の元に、東日本大震災で行方不明になった彼が現れる。
陽に透けないほどの存在感を持つその訪問者に私は安堵するが、死者との邂逅はその街と人の様相を重層的な記憶を掘り起こすように変容させてゆく。
群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した著者のデビュー作。
解説=松永美穂(ドイツ文学者、翻訳家)
内容説明
ドイツの学術都市ゲッティンゲンに暮らす私の元に、東日本大震災で行方不明になった彼が現れる。陽に透けないほどの存在感を持つその訪問者に私は安堵するが、死者との邂逅はその街と人の様相を重層的な記憶を掘り起こすように変容させてゆく。群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した著者のデビュー作。
著者等紹介
石沢麻依[イシザワマイ]
1980年、宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ在住。2021年、「貝に続く場所にて」(本作)で第64回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作は同年第165回芥川龍之介賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rico
72
貝は聖ヤコブのシンボル。巡礼と縁が深いことは読了後に知った。ドイツの古都にくらす女性のもとに、9年前のあの日海に消えた彼が現れる。霊?魂?違う、彼はただそこにいる。コロナで人の賑わいが消えた街に、彼はごく自然に馴染む。彼の訪れに呼応するかのように喪われた記憶の断片が甦る。逝った人とともに失われた記憶が、生きている者の行き場を見つけられない亡き人への想いが、この時、この街に、波のように寄せてくる。この冥界の王の象徴をオブジェとして持つ街が新たな聖地になったのか。悼むことは、生あるものにしかできないのだけど。2024/03/29
Willie the Wildcat
71
言葉と感覚の距離感。時間と空間、それぞれの遠近法が醸し出す奥行きと距離感。これら2つの距離感が齎す違和感。「日本(震災)vs.ドイツ(強制収容所)」と、”冥王星”が描く2つの幻影の世界。罪悪感の根底が、距離。”消失点”が記憶を留め、距離を測ることで「固定」。故の「物」ではなく「もの」。極めつけが『漱石』の世界。模索する過程の入り口の『夢十夜』。”余白”を自己解釈し、『猫』の”第3者の眼”を通した学びによる環境への変化・適応。虎彦が師を支え、共に育つ。礎を1つずつ見出すことで、真理に辿り着く感。重厚だなぁ。2023/11/04
だい
17
第165回芥川賞受賞、第64回群像新人文学賞受賞作でドイツ在住の石沢麻依さんの作品です。 この芸術性の匂いが、ぷんぷんする本作は情景描写が多く会話文を極力抑えて読み手のイマジネーションに任せるといった大胆な手法の作品で読破に時間がかかった手強い一冊。 またファンタジック系も含んだ難解な作品でした。2024/10/16
yuui
13
おかしいな! ちゃんとした日本語の物語りを読んどるはずやのに凄い難しい!なんか上手くいえやんのやけど体調のいい時に気合いを入れてぽやーと読むんがベストな感じ 笑 幻想的なんやけど例え?比喩?がいまいち想像しづらいし起承転結があるようなないような! 物語りってゆーよりなんかアート作品を見とる気分になった!! ここまで言ったけど個人的には読んで良かったし面白かった🤗こんな形でまた新しい本を面白さを伝えてくれた作品やった😳こんな表現もあるのねと!新しい本の魅力?を教えてくれた!2023/10/02
LIBRA
9
残念ながら、私には、全く理解出来なかった。2024/05/21