出版社内容情報
わかるよ、みんないろいろあるけどさ――。
ほら、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず!
子ども食堂を舞台に、市井の人々の生きづらさと希望を描く、読んで「美味しい」老若男女群像劇の傑作。
営業時間は午後5時から8時まで。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さまは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい!
うまくて泣ける、心温まる絶品群像劇!
内容説明
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。訪れるのは近所の小学生や、ひとり親のホステス、娘と絶縁した老父。あったかごはんを食べた口から、言えなかった言葉がこぼれ出る―子どもも大人もお年寄りも、いつでもだれでも大歓迎。事情を抱えた人々が集う、子ども食堂の物語。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2008年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。2019年に『ひと』が本屋大賞第2位に選ばれ、ベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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bura
77
「とにもかくにもごはんを食べてもらう」子ども0円おとな300円、ごく普通の町にあるボランティアの「クロード子ども食堂」。主催者の波子は仲違いしたまま事故死した夫の言葉を思い出し食堂を始める。近所の小学生、ホステスの母子、娘に縁を切られた老人、そしてボランティアに集まる人々。午後4時から8時まで。食堂の時間と共に語り部が変わりながら、それぞれの言えなかった「思い」が伝えられていく連作短編。作者の人との繋がりを描く術が相変わらず素晴らしい。辛さを乗り越えた先の温かさが嬉しい。心に「おいしいごはん」を頂いた。2024/02/18
アッシュ姉
59
タイトルからして元気が出る。子ども食堂が舞台の群像劇。食堂を開いた理由、ボランティアとして参加することになったきっかけ、食堂を利用する子どもや大人のそれぞれの事情が丁寧に明かされていく。個人で運営していくのは大変そうだが、救われる人が確実にいるので長く続けて欲しいと思う。続編も出たら嬉しい。小野寺作品は優しくて温かくてぽかぽかする。こちらもニコニコしながら読了。2024/12/23
カブ
52
優しく、ホッとできる子ども食堂「クロード子ども食堂」。近所の小学生やホステスや一人暮らしの老人、子どもだけじゃなく大人もお年寄りもやってきます。限られた予算であたたかい食事を出せるように工夫した献立が美味しそう。2023/11/01
レモン
41
こども食堂を始めた女性とボランティアスタッフ、利用者や周囲の人々が織り成す群像劇。フィクション的な終わり方ではあるものの、こども食堂を必要としている子の救いになりました風のありがちなまとめ方ではなく、淡々と進行していくのが良い。波子の考え方はとても素敵で見習いたい。牧斗の母親も側から見ていると眉を顰めがちな言動をしているが、彼女なりに息子を想っていることも伺え、人間は一面だけで判断できないと改めて気づかされた。日常の延長に当たり前のようにこども食堂が溶け込む地域が増えていきますように。2023/12/05
ともくん
37
クロード子ども食堂。 六人に一人の子どもが貧困世代の日本で、子どものお腹を満たそうと努力する食堂。 集まる子どもも、働くスタッフも、事情は様々。 とにもかくにも、ご飯を食べないと始まらない。 美味しくて、温かいご飯を。2024/03/16