幻のレコード―検閲と発禁の「昭和」

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幻のレコード―検閲と発禁の「昭和」

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  • サイズ 46判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784065322574
  • NDC分類 760.9
  • Cコード C0021

出版社内容情報

本書は当時最新の、音声にかかわるメディアであったレコードの検閲について、内務省当局の記録である『出版警察報』をメイン史料として浮き彫りにします。レコードは最新の音声・映像メディアであるラジオ・映画に比して、一般大衆が実際に手元に置けるという点で従来の書物と地続きのものでしたが、再生装置の必要性、享受の複数性・同時性などの特徴から従来の「活字の取り締まり」とは違う位相を呈することになりました。
レコード検閲は内務省警保局図書課レコード検閲係(のち検閲官)がおこないましたが、官と民の意見のすり合わせをする「内閲」や「懇談」を通じて、やがて発禁を避けるためのレコード会社による自主検閲(=自粛)という仕組みができあがります。
敗戦後、検閲は憲法によって禁止され、GHQによる占領期を除いて公式にはおこなわれてはいませんが、クレームを恐れるレコード会社や放送局の自主規制が検閲の役割を果たしているという点で、その仕組みはいまなお変わっていません。さらにSNSの普及によって検閲はいまや一般大衆の手に委ねられたとさえいえ、企業が自粛する構図ができあがっているのです。
本書は「昭和」という時代における音声メディアと権力との関係、メディア自身のありようがどのようなものであったかをさぐります。また、本書ではこれまで取り上げられることのなかったレコード検閲係(官)小川近五郎という人物の実像に迫ります。レコード検閲で下級官僚が果たした役割をたどりつつ、その人間味をも含めて「現場からの歴史」を描きます。

内容説明

いまもなお続く「指導」と「自主規制」の巧妙にして隠微な構造。文字は取り締まれても、音声に権力の網はかけられるのか―?

目次

第1章 レコードというメディア
第2章 レコードにも検閲を!
第3章 出版法改正
第4章 レコード検閲係・小川近五郎
第5章 “忘れちゃいやョ”と“あゝそれなのに”
第6章 昭和十二年の転機
第7章 便乗と動員
第8章 戦時体制下のレコード検閲
第9章 夢去りぬ

著者等紹介

毛利眞人[モウリマサト]
1972年、岐阜県郡上市生まれ。音楽・レコード史家/音楽評論家。高校時代より地元紙にコラムを寄稿。大阪芸術大学中退後、中古レコード店勤務を経てライターとなる。専門は近代音楽と文化史、日本洋楽史、世界と日本のレコード史。ボン大学・片岡プロジェクト及び早稲田大学演劇博物館招聘研究員。SP盤復刻CDの音源提供・監修を手がけるほか、蓄音機を用いたコンサート・講座を開催している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

122
戦前戦中の検閲や発禁と聞くと、言論弾圧の暗いイメージしか浮かばない。しかし当時レコードの検閲実務を行っていたのは軍ではなく内務省で、担当者の小川近五郎は若い頃に松井須磨子の追っかけもした男だった。そんな音楽に理解ある検閲官が恣意的にOKやダメ出しをするものだから、業界は引っかき回され続けた。しかも流行曲の安価な模倣盤が当然だった時代に、風俗壊乱を理由に取り締まったため著作権侵害が激減したのだ。加えてレコード雑誌の存続に尽力したり、発禁レコードを内密に収集していたとは「ホンマかいな」と言いたくなる裏歴史だ。2024/01/31

hitotak

8
昭和9年から敗戦まで、本や映画などと共に行われていたレコードの検閲だが、意外にも軍部はそれに関わらなかった。専ら司っていたのは行政機関である内務省、それも業務は一人の音楽好きの検閲係・内田近五郎によって行われ、内田氏の趣味や検閲業務のマイルールに則り、レコードの発禁や発売許可の匙加減が決められていた。戦前の「ねェ小唄」や戦時歌謡等の流行音楽の流れも勿論詳しく書かれているが、内田氏が戦前の音楽雑誌に発表していた文章等も紹介され、読了してみれば印象に残ったのは人間味あふれる内田氏の仕事ぶりや人となりであった。2024/01/21

takao

3
ふむ2024/03/18

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