出版社内容情報
妻が事件に巻き込まれたあの日から、俺の時間は止まった。意識を取り戻さない彼女がひた隠していた暗い運命とは。焼失していたはずの古代彫刻「ニケ」――勝利の女神の魅力に翻弄される人間たちを描く物語。
内容説明
ある日の昼下がり、妻の恵が暴漢に襲われた事件の知らせを受け、楠木啓蔵は病院に駆け付ける。一命を取り留めた恵だが、「なんでわたしは、―あなたを選んでしまったの」という謎の言葉を残したまま意識を失ってしまう…。最後のメッセージが頭から離れない楠木は、事件に巻き込まれた原因を探るうちに、恵の陰に見え隠れする、古代ギリシア彫刻「ニケ」の存在に気付いていく。
著者等紹介
植田文博[ウエダフミヒロ]
1975年、熊本県生まれ。2013年、第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『経眼窩式』で受賞、翌年同作で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
60
ニケ…罪深い。が、そこに言葉で表すことのできない魅力が溢れているのだろう。誰もがその触れてはいけない女神に狂わされ、奪われて、そして齎される。ニケを殺そうと画策する者達。そこに愛する妻が含まれていたのか。平凡な家庭、とりとめのない幸せな結婚生活…。この日々が偽りだったとは信じ難い。が、しかし妻の裏の顔を垣間見た事件を問答無用に差し出された夫は、どこまで現実から目を逸らさずにいられるか。幻のニケを巡る争い。何がそこまで人を狂わせる?小さな手掛かりと大きな疑惑の間で揺れ動く不変の想い。ニケを殺すか、救うのか。2023/06/30
うみ
17
タイトルにニケが冠され、帯にはアート・ミステリの文字が。そりゃ手に取るでしょうよ。読むでしょうよ。漠然と思っていたアート・ミステリとは趣を異にしていた。一瞬、守備範囲じゃないかもとは思った。なにせハードボイルドだ。男一匹、惚れた女の面影を抱いて戦う物語だ。世界の全てを敵にまわしても、あなたは誰かを愛せますか?2023/05/30
眠り猫@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
12
アレもこれも詰め込もうとして結果的に薄〜くなってしまった感が否めない。どの要素も面白そうなのだけれど、残念でした。2023/08/15
ムーミンママ
4
ハードボイルドなミステリー。オリンピアのニケを巡って三つ巴の戦い。主人公夫妻が どうなったかのかが気になる。2023/11/04
CD
2
こういうのハードボイルドてジャンルなんだろうな ニケ像をめぐるミステリ。舞台が実在の地名ながらあちこち移動するのが、近年の小説にしては新鮮。文章力高い気がする。2024/07/16