出版社内容情報
ハンナ・アレント(1906-75年)の『人間の条件』(英語版1958年)は、「人間」とは何か、とどまるところを知らない科学と技術の進歩は人間をどう変化させるのか、といった課題を考える際に不可欠の書として多くの人によって手にされてきた。待望の新訳(講談社学術文庫)刊行に際し、その訳者を務めた第一人者が決定版となる解説書を完成。定評ある『精読 アレント『全体主義の起源』』(講談社選書メチエ)の姉妹篇。『人間の条件』全6章のエッセンス、その背景や可能性を徹底解説!
【本書の内容】
序 章 マルクスと西洋政治思想の伝統
1 古典的政治哲学の成立
2 ソクラテス
3 存在への問いとプラトン
4 近代の転換
5 自然と人間の物質代謝
第I章 観照的生活と活動的生活
1 アウグスティヌスと古代世界の没落
2 不死と永遠
第II章 公的なものと私的なもの
1 アテナイにおける古典的ポリスの成立
2 古代における公私の区分
3 社会的なるものの勃興
4 公的領域の光の喪失
5 私有財産の意味
6 公私の区分の意味
第III章 労 働
1 「労働」と「仕事」
2 「世界」と労働、仕事の位置
3 人間の生と労働の意味
4 労働と生産力
5 私有財産の源泉としての労働
6 労働の労苦からの解放は何をもたらすか
7 大衆消費社会という不幸
第IV章 仕事と制作
1 産業革命における「消費」の無限拡大
2 制作過程の変容
3 功利主義批判
4 工作人と交換市場
5 世界の永続性と芸術
第V章 行 為
1 第二の「出生」
2 行為と人間事象の脆さ
3 ギリシア人の解決としてのポリスと「権力」概念
4 ヘーゲルからマルクスへ
5 行為の代替としての制作
6 人間関係を修復する「奇蹟」としての「許し」
7 行為の「予測不能性」に対する救済としての「約束」
8 自然過程への「行為」の介入
第VI章 近代の開幕と活動力のヒエラルキーの転換
1 近代の起点
2 ガリレオによる望遠鏡の発明
3 近代数学と経験からの解放
4 デカルトの懐疑
5 デカルト的内省と共通感覚の喪失
6 観照と活動の伝統的なヒエラルキーの解体
7 制作から過程へ
8 「工作人」の敗北と功利主義の限界
9 労働と生命の勝利
10 展 望
内容説明
二〇世紀を代表する思想家ハンナ・アレント(一九〇六‐七五年)。その主著は『人間の条件』(英語版一九五八年)にほかならない。科学と技術の進歩は世界大戦の惨禍をもたらす一方で、地球の外にまで人間の活動領域を拡大する。「観照的生活」から「活動的生活」への移行を歴史的に跡づけ、「労働(labour)」、「仕事(work)」、「行為(action)」の分類に基づいて、世界から疎外される「人間」の行く末を展望する古典―待望の新訳を成し遂げた第一人者が全六章を徹底解説!
目次
はじめに―地球からの脱出と「人間の条件」の変容
序章 マルクスと西洋政治思想の伝統
第1章 観照的生活と活動的生活
第2章 公的なものと私的なもの
第3章 労働―自然と人間の物質代謝
第4章 仕事と制作
第5章 行為
第6章 近代の開幕と活動のヒエラルキーの転換
著者等紹介
牧野雅彦[マキノマサヒコ]
1955年、神奈川県生まれ。京都大学法学部卒業、名古屋大学大学院法学科博士課程単位取得。名古屋大学助教授、広島大学法学部教授を歴任。現在、広島大学名誉教授。専門は、政治学、政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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