出版社内容情報
「俺が喰ってやるよ。あんたの悪夢をさ」
身近な人にやるせない感情を抱く4人の依頼者たち。
“獏”は彼らの夢に共に入り、劣等感に、罪悪感に、無力感に喰らいつく!!
「獏憑き」の黒沢彩人は従兄弟の桂輔が社長を務める白木清掃サービスで、悪夢の原因となる穢れを取り除く「夢祓い」を行っている。
実家のパン屋を継ぐ夢を絶たれた館平奈々葉、
妻子と別れ、占い屋を営む根津邦雄、
四歳の娘にどうしても優しくできない笑原香苗ーー
獏憑きは穢れを喰べるほどに寿命が縮む。
しかし彩人には、残された時間でどうしても喰べたい悪夢があったーー
内容説明
「獏憑き」の黒沢彩人は従兄弟の桂輔が社長を務める白木清掃サービスで、悪夢の原因となる穢れを取り除く「夢祓い」を行っている。実家のパン屋を継ぐ夢を絶たれた館平奈々葉、妻子と別れ、占い屋を営む根津邦雄、四歳の娘にどうしても優しくできない笑原香苗―。獏憑きは穢れを食べるほどに寿命が縮む。しかし彩人には、残された時間でどうしても食べたい悪夢があった―。身近な人にやるせない感情を抱く4人の依頼者たち。“獏”は彼らの夢に入り、劣等感に、罪悪感に、無力感に喰らいつく!
著者等紹介
風森章羽[カザモリショウ]
3月7日、東京都調布市生まれ。2014年、『渦巻く回廊の鎮魂曲 霊媒探偵アーネスト』で第49回メフィスト賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
57
生きてるうちに悪夢となった穢れを食べる獏憑き。どんでん返しやドロドロ抱え込みながらも、作者自身の作風から登場人物が多少善寄り抱え込んだ人生観ありな反転されるのが保証されてるので(第三章ブラックなオチ考えてたせいもあり)ラスト含め、読後感は悪くない。苦悩の穢れを払ったり共存の道を選びひとそれぞれの解決法と寄り添い方もあるから特に。2023/06/01
花ママ
51
初読みの作家さん。面白かった。主人公の黒沢彩人は、人が見る夢を喰らう〈獏憑き〉という因果な星のもとに生まれ、表向きは従兄弟が社長をしている清掃会社で仕事をしながら、悪夢の元になった穢れを取り除く「夢祓い」をしている。両親を事故で亡くしたバン屋の娘奈々葉、胡散臭い占い屋を営む根津、娘に優しくできず悩んでいる香苗の夢祓いを行う。ただ夢祓いを行うにはリスクも伴う。最後に明らかになる彩人の生い立ちまで、一気に読了。#NetGalley JP2023/02/03
うまる
30
血筋の苦悩があったりで、思ったよりもシリアスでしたが、色々な所が練られていて面白かったです。職業に意味があったことに驚いたし、タイトルまで回収いている事に感心しました。話の繋がりにフフッてなる所や、終盤までの人との繋がりに意味がある所も良い。キレイにまとめるお手本みたいでした。大団円な感じだけど、もっと色んなエピソードを読みたいです。2023/06/02
カノコ
25
悪夢を喰らうことができる「獏憑き」の彩人が、暗い思いを抱えた依頼人たちの夢に入り込む連作短編集。必ず獏憑きが一人生まれる血筋、人に嫌悪感を与える背中の痣、寿命を縮める夢祓いの行為など、どこか漫画めいた設定だと感じた。それでも、人の心に巣食う罪悪感や劣等感はとても生々しく、黒く描かれていて、ファンタジーのような設定とのコントラストがはっきりしている。全体的に綺麗にまとめすぎて軽くなっているような気もするが、希望の見える温かなラストは嫌いではない。ひとりで占い屋を営む男の「ドリームキャッチャー」が良かった。2023/04/06
らなん
16
初めての作家さん。2023年連作短編集。 前半は、悪夢に悩む人の夢の中に入って、その穢れを食べてくれる獏の話。最後の方は、獏憑き家系 の過去と、それをより良くしようとする話しで、きれいになっていく様子は、気持ちいい程でした。 願わくば、悪夢を喰らってもらう人々の逸話をもっと読みたかった。2023/05/21