出版社内容情報
1985年、バブルに沸く日本。大みそかに出発した北海道札幌発のバスツアーで流氷を見ることを楽しみにしていた少年と少女は、バスの転落事故ですべてを失ってしまった。
そして1999年、成長した彼らは、きたるべきミレニアムに浮足立つ新宿の街で再会するーー一体の首吊り死体をはさんで。定年間近のベテラン刑事と、競争から外れてしまった若手刑事が、二つの時代をつなぐ事件の真相を追うべく、駆けずり回る。この国で隠され続けてきた、あまりにも悲しい真実とは――?
内容説明
1985年、バブルに沸く日本。大晦日に札幌市内から知床半島ウトロへと向かう「北斗流氷号バスツアー」へ参加していた少年と少女は、バスの転落事故ですべてを失ってしまった。そして1999年。成長した彼らは、きたるべきミレニアムに浮足立つ新宿の街で再会する―身元不明の首吊り遺体を挟んで。定年間近のベテラン刑事と、競争から外れてしまった若手刑事が、二つの時代をつなぐ事件の真相を追うべく、駆けずり回る。この国で隠され続けてきた、あまりにも悲しい真実とは?
著者等紹介
一雫ライオン[ヒトシズクライオン]
1973年生まれ。東京都出身。明治大学政治経済学部二部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。多くの作品の脚本を担当後、2017年に『ダー・天使』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
121
少年少女の薄氷を渡るような人生物語の一冊。1985年の北海道で起きたバス転落事故で生き延びた少年少女。時が経ち1999年の新宿で起きた事件が再び彼らの人生を取り巻く。一人の老刑事が見た一瞬の二人、時代を結ぶ真相を追い求める時間は次々とページを捲るほど。背負ったものの重さを感じるだけに常に危うさと共に生きてきた姿がせつない。老刑事の、救いたい想いもいい。終盤のあっという驚きには思わず声が。あの束の間の思い出は薄氷を渡りきるお守りだったことを思うと、思い出は生きる希望、人を守る強さになることを噛み締めて、涙。2025/04/18
ゆみねこ
76
1985年の大晦日、真冬の石北峠で起きたバスの転落事故。知床半島ウトロに向かう豪華バスツアーに参加していた多数の人が亡くなり、生き残った少年と少女は1999年の12月新宿で再会する。謎の自殺、ポケットに残る石の欠片、身元不明の遺体を挟んで眼差しをかわす2人に気付いたひとりの老刑事。バブルの狂乱、利権、寄る辺のない子供たちの来し方、介護の問題。罪を犯した理由、隠されていた真実、最終章での驚きの展開。厚みのある本なのに一気に引き込まれて読了。お薦め!2025/04/21
のぶ
67
1985年、北海道で起こった豪華バス転落事故から物語は始まる。事故に遭った人はひたすら生き延びることだった。その先にある、一筋の希望を小さな手に握りしめて。罪をあばくことは、義なのか、それとも救いなのか。逃げて欲しいと思う。逃げ切って欲しいと願う。よるべなく支え合うその小さな手が、いつか温かさをつかむまで、生きて、逃げて、と祈ってしまう。運命に縛られたように生きている登場人物のそれぞれを思うと、切なくなってくる。この話で幸せになった人はいるのだろうか?印象的なエピローグを読んでそう感じた。2025/04/14
pohcho
61
1985年大晦日の夜の北海道、ラジオで安全地帯の「悲しみにさよなら」が流れる中起きた観光バスツアーの転落事故。まもなくミレニアムを迎える1999年のクリスマスイブ、新宿駅南口の歩道橋で発見された男性の首吊り遺体。何の関係もなさそうな二つの事件が定年間近のベテラン刑事の直観でつながっていく。悲しい宿命を背負った子どもたちが大人になり。「白夜行」を思わせるような男女だが、障害のある弟の存在でまた違った味わいが。そして最終章には驚き。エピローグ、長くつらい時を経てやっと流氷を見ることができた彼らに感無量。2025/04/11
ごみごみ
53
小さな町で起きた悲惨な交通事故。その裏にあった大きな闇にのみ込まれ、互いを守るために罪を重ね、いつか一緒にと誓った約束を信じて、暗いトンネルの中を必死で生き抜いてきたふたり。一瞬だけ重なる視線、その秘密のメッセージに気づいたひとりの刑事が、見えない糸をたぐり寄せるように「昭和という時代の犠牲者」である彼らが犯した罪を追う。解決してやらなきゃいけない、その刑事の思いは救いになるのか。驚きの最終章、そして長い長いトンネルを抜けた先に彼らが見た景色とは・・納得のエピローグ。2025/04/10
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