出版社内容情報
戦国初期に活躍した山陰の雄、尼子経久。「謀聖」と言われるほど計略に優れた人物でありながら、「天性無欲正直の人」と評された得体のしれない個性。そして、東の北条早雲とともに、下剋上大名の代名詞的存在である経久が、旧秩序の破壊を志した本当の狙いとは?
出雲の領主たちを従えた経久は、中国地方の覇者を目指し、そこに待ち受ける宿敵との激闘を開始した。「妖草師」シリーズの武内涼が描く、大河歴史小説シリーズ、進撃の第三巻!
内容説明
出雲を手中に収めた尼子経久は、山陰に覇を唱えるべく勢力拡大を図る。しかし、そのためには中国のみならず九州にも勢力を張る大大名・大内家との闘争は避けられない。経久は「終生の敵」を相手に虚々実々の外交と果敢な戦いを繰り広げる。「謀聖」と称された英雄の隆盛を描く書き下ろし歴史長編、第三弾。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011年にデビュー。’15年「妖草師」シリーズが徳間文庫大賞を受賞。’22年『阿修羅草紙』で第24回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
如水
24
尼子経久、月山富田城奪取からわずか3年で出雲国を併呑。次に狙うは山名、大内と言う内容…ですが、3年で統治出来たんかいっ!!と思う方、ご安心を(笑)確かに出雲国を併呑しましたが、『完全な』と言う訳では無い事が良く分かる内容。今迄出雲一国だったのが、幕府、諸大名に対して外交展開しながら領土を伯耆、石見と侵食しつつ内部統治を計る。一気に難しさがLEVELUPした感じが有ります。最後は『経久51歳、上京する』。1、2巻で活躍していた登場人物が一気にフェードアウトして行く…尼子家の入れ替わりも激しくなって来た。2023/06/24
スー
21
9出雲を統一したが今まで支えてくれた両宿老が死去し気づけば経久も50歳を超え大内家と山名家が立ちはだかり夢の実現はまだ遠い、そして軍師の山中も失い周りが寂しくなるし経久の子供にも不安が残る。歴史を知ってるので尼子家がどうなるのか分かっているので次巻はかなり切ない思いをするのだろうなぁ、毛利元就や尼子晴久と国久の関係などどう描かれるのか楽しみです2024/03/10
Book Lover Mr.Garakuta
16
【小林書店】【速読】:山陰の雄尼子家の栄枯盛衰をつづった小説。今回は中国九州との外交戦略や出雲を手中に収め版図を広げることを画策する。又朝廷との謁見を図るなど。全国にその名を轟かしている。興味深い一冊だった。2022/10/03
onasu
15
尼子経久の勃興を描いた3巻目。 巻頭で出雲の残りを、次いで伯耆の一部を手中に収め、石見にも触手を伸ばし、山陰の一大勢力となったがため、西の大内、東の山名に敵視されることに。経久も遠交近攻と唾棄していた中央の大物、管領の細川政元と誼を通じ均衡を図るが…。 同じく守護代という身分ながら、大内家に尽くす陶興房の激しい憎悪、大内家を後ろ盾にすべく身を寄せる途上、出雲に立ち寄ったという設定の先の将軍義材と妹の尼僧がおもしろい。 西国の構図が決まったと思われた矢先、中央で思わぬ事態が起こり…。次巻が待ち遠しい。2022/11/20
Mzo
13
相変わらず面白い。大概の人物伝でもそうですが、創業から暫くは創意工夫が極めて有効で、読む方にとっても爽快そのもの。しかし一定規模に到達してからは、二番手・三番手勢力としての苦悩が増えますね。そして後進の育成は本当に難しい。2024/03/06