出版社内容情報
新時代の特殊設定ミステリー作家、潮谷験が贈る「愛と記憶のミステリー」
「オスロ昏睡病」という難病から回復した患者は、身体の一部に薔薇の形をした腫瘍ができる後遺症を持つ。35年前に治療法を確立し権威となった医師が殺されたことを皮切りに「オスロ昏睡病」の患者が次々に襲われる事件が発生。自身もかつてその難病に罹った京都府警の八嶋警部補は、犯人の特定と難病治療がもたらした闇に挑む。
内容説明
「オスロ昏睡病」という難病から快復した患者は、身体の一部に薔薇の形をした腫瘍ができる副作用を持つ。35年前に治療法を確立し権威となった医師が殺されたことを皮切りに「オスロ昏睡病」の元患者が次々に襲われる事件が発生。自身もかつてその難病に罹った京都府警の八嶋警部補は、犯人の特定と難病治療がもたらした闇に挑む。
著者等紹介
潮谷験[シオタニケン]
1978年京都府生まれ。第63回メフィスト賞受賞。デビュー作『スイッチ 悪意の実験』が発売後即重版に。「王様のブランチ」(TBS)で特集されるなど話題になる、2作目の『時空犯』は、リアルサウンド認定2021年度国内ミステリーベスト10選定会議で1位に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
97
幼少期に発症する難病「オスロ昏睡病」。画期的な治療で回復しても身体の一部に「薔薇」のような腫瘍ができる。この治療の権威と元患者が殺害されるという事件が起こり、自身も元患者であった京都府警刑事がこれ挑む。次々と元患者が襲われる。元患者の集まりである「はなの会」、薔薇の部分をお互いにくっつけると見る白日夢…早いうちから殺人事件の犯人は想定でき、動機もちょっと弱いのでミステリーというよりはSFに近い。世界観は壮大であり、警察の面々も個性的で魅力的。2023/04/29
itica
73
昏睡する難病を完治する治療法が見つかり患者が救われるようになったが、副作用として(無害ではあるが)薔薇の花に似た腫瘍が体にできてしまう。その患者たちの連続殺人事件から導かれる知られざる秘密。個性的な設定であり、人としての根幹、アイデンティティにも係わる問題を含んでいる。壮大と言えばこれ以上壮大でロマンのある話はないと思うが、私の好みではなかったかな。 2022/10/12
雪紫
71
難病の完治の副作用として浮き出る薔薇の腫瘍。権威と女性患者に犠牲者が・・・。なんか、凄く映像で見たい。特殊設定ミステリのような始まり方と設定だけど、解き方は普通に王道ミステリな着地をする印象の強い作家(むしろ特殊設定は登場人物の思考や動機、物語に使ってる)なので、かなり謎解きはシンプルかつ予想外から責めてストレート。キャラも良いので犯人はカンで、わかったものの動機が・・・。読んでて風景やキャラに引き込まれる作品。やっぱり映像で見たい。2022/12/23
えみ
65
重篤な禁忌に窒息しそう。何を書いてもネタバレになりそうなほど、一節一節が真相への警告メッセージだった。人は知りたいと思ったことに対して真摯に向き合うことができる生き物だと思っていたが、まさか知ることで好奇心を持ったことを盛大に後悔させる結果になろうとは想像できなかった。見事に裏切られるような嫌悪感と憎悪が押し寄せる。花言葉は「愛」身体に咲く神秘の薔薇もまた、そこに愛を宿しているのだろうか…。いや、愛を求めていたのだろう…。病の治癒と同時に薔薇のような腫瘍が身体に現れる薔薇持ちが殺される殺人事件の謎を追う。2022/11/08
さっちゃん
55
特殊設定ミステリが壮大なSFファンタジーへと繋がる作品。幼少期に「オスロ昏睡病」という難病から特殊な治療を受けて回復した患者は、後遺症として身体のどこかに薔薇の形をした良性の腫瘍ができる。ある時、治療した医師や「薔薇持ち」と呼ばれる元患者が次々と殺される。自らも薔薇持ちの刑事・八嶋は、事件を追ううちに薔薇の秘密を知ることに。/過去作に比べると読みやすく飲み込みやすい。ミステリよりもSF的な部分や哲学的な部分、ロマンを感じるエピローグに重きを置いている印象。突拍子もない内容とも言えず色々と考えさせられる。2022/11/30