出版社内容情報
本田 済[ホンダ ワタル]
翻訳
内容説明
人間は利のために動く。君臣の間に愛はない。徹底した現実主義的人間観に基づく実践的君主論にして、春秋戦国の乱世下に法家が磨き上げた統治思想の極致。「矛盾」「守株」など秀逸な譬えを交える軽妙さ、理想的統治を語る峻厳さ、儒家への鋭い批判、そして不合理な現実政治への悲憤―抑揚に富んだ語り口を生き生きと伝える碩学の名訳で、全文を読む。
目次
初見秦 第一
存韓 第二
難言 第三
愛臣 第四
主道 第五
有度 第六
二柄 第七
揚権 第八
八姦 第九
十過 第十〔ほか〕
著者等紹介
本田済[ホンダワタル]
1920‐2009。伊勢に生まれ、のち京都にて育つ。京都帝国大学文学部支那哲学史科卒。「易経の思想史的研究」により文学博士(京都大学)。大阪市立大学教授、梅花女子大学学長を歴任。元日本道教学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
49
面白いです。人の欲しがるものを求める欲は人の脳をぐちゃぐちゃにしてしまうものなのです。『欲があれば思慮が乱れる。思慮が乱れれば欲が深くなる。欲が深ければ邪心変わりが勝つ。邪心が勝てば筋道が絶える。筋道が絶えれば災難がおこる、これで見ると、災難は邪心から生ずる。邪心は人の欲しがる物に誘われておこる。人の欲しがる物は、甚だしい場合は良民に悪事を働かせ、それほどでなくても善人に禍いを及ぼす。……してみれば人の欲しがる物というのは、上にむかっては弱い君を侵害し、下に向かっては人民を傷つける。』P176 2022/12/18
やましん
8
トップポイントで概略だけ確認。良書の予感。時間もないし他に読みたい本も多いので多分今後も出来ないかもしれないが東洋の古典を紐解きながら分からない単語などは辞書を片手にじっくりと読んでみたいと思っていたころ、現代語訳して咀嚼してくれた1冊。圧倒的多数として本邦の知識人は西洋の哲学者や実践家の引用を好むが、本邦の文化的な土壌や気風からして東洋哲学や実践家の資源の方が味わい深いのではなかろうか。しばしばマキャベリズムとの類似性を指摘される韓非子、是非とも買って読みたい。2023/08/27
鴨の入れ首
2
2022年刊。図書館本です。中国古代の法家思想書「韓非子」の現代日本語訳。近年注目されている「韓非子」を研究するにあたり、まずは読んでおきたい本です。現代社会でも通用しそうな内容に、人間社会は古今東西、2500年以上も経過してもまだ進歩していないのだなと実感することしきりでした。読むのに時間が掛かるボリューミーな本でしたが、大変読み応えがありました。2025/04/20
みそみそ
1
現代社会でも使えることも多きと、数年前は思っていた。しかし、近年は賞も罰も効かない人間が増えている気がする。韓非さん、どうしたらいいですかねぇ。2025/04/03
そらックマ
0
性悪説を説いた本、当時の中国を考えると法律を厳しくすれば人は正せるといった思想2023/07/21