出版社内容情報
藤井 貞和[フジイ サダカズ]
著・文・その他
内容説明
精神分析、政治、神話、歴史、そして昔話、小説、うた。物語は社会のいたるところにある。平家物語などの「語り物」やアイヌのユカラとの対比、源氏物語の婚姻制度と母殺しの阿闍世コンプレックス…日本列島の物語を起源から、そして世界文学との比較から考える。「もの」とはなにか。「語り手」は誰なのか。物語理論の金字塔となる、伝説の東大講義18講!
目次
1 物語理論の進入点(ものがたりとふること;うたとは何か ほか)
2 物語理論の基底と拡大(神話から歴史へ;神話的思考 ほか)
3 物語理論の水面と移動(物語人称;作者の隠れ方 ほか)
4 物語理論の思想像(『源氏物語』と婚姻規制;物語と精神分析 ほか)
著者等紹介
藤井貞和[フジイサダカズ]
1942年東京生まれ。詩人、国文学者。東京学芸大学、東京大学、立正大学の各教授を歴任。著書に『源氏物語の始原と現在』『源氏物語論』(角川源義賞受賞)など。詩人としては、『ことばのつえ、ことばのつえ』(藤村記念歴程賞および高見順賞)、『甦る詩学』(伊波普猷賞)、『言葉と戦争』(日本詩人クラブ詩界賞)、『春楡の木』(鮎川信夫賞および芸術選奨文部科学大臣賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひでお
11
詩人としても知られている著者の大学での講義がベースになっている本です。物語を論理的に分析する内容で、難解な部分もありますが、新しい視点にも出会うことができます。特に人称論は異論もあると思いますが面白いです。語り手や作者を人称と認定することはなんとなく理解しますが、四人称はイメージしにくいものでした。あと、著者は折口信夫には批判的な立ち位置なのか、厳しい意見に思えました。最後に構造主義に触れていますが、こちらは議論をもう少し深めてほしいところでした。2022/12/14
kentaro mori
3
一人称、二人称、三人称に加え、語り手人称(ゼロ人称)、作者人称(無人称)、物語人称(四人称)、風が吹く・雨が降るなどの自然称、鳥や虫の擬人称 ●日本語の本来は、『源氏物語』の時代などにおいて、五種から六種の"時間"を使い分けていたのが、「た」一つになって、これでは時間哲学みたいなことを哲学者がやろうとしても、現代日本語だとできないのではないかと心配したい。2023/11/08
akiko aikawa
2
「人は何故物語に引き付けられるのか」を知りたくて読んでみたが、難しい…、理解が追いつきません。「ものがたる」とはどういうことかを理論的に説明しているので、知りたいことの方向が違ったようだ。「(物語化ということは)普遍において個別が生きられることの理由をそこに求めるのだ。」のあたりはちょっと納得。2025/01/29
はひへほ
2
物語というものに関心をもっていたら、偶然目に留まったので購入して読んでみたが、あまり自分の欲していた書かれ方ではなかった。講義録ということなので、実際の講義では沖縄やアイヌの言葉が音声で聞けたのかもしれないが、紙に印刷された文字では目が滑ってしまった。他の物語論の本も読んでみようと思った。2023/10/20
Go Extreme
2
世界と日本社会をつなぐための理論的なスタート 物語が日本社会でどう生きてきたかという考察 物語理論の進入点: ものがたり と ふること うたとは何か うたの詩学 語り手を導きいれる 物語理論の基底と拡大: 神話から歴史へ 神話的思考 語り物を聴く 口承文学とは何か 昔話の性格 アイヌ語という言語の物語 物語理論の水面と移動: 物語人称 作者の隠れ方 談話からの物語の発生 物語時称 テクスト作りと現代語訳 物語理論の思想像: 『源氏物語』と婚姻規制 物語と精神分析 構造主義のかなたへ2022/07/11