出版社内容情報
昭和7年1月、芝公園内で窮死した私小説作家・藤澤清造。その35年後に生まれた西村賢太はみずから「没後の弟子」を名乗り、作品の文学的価値を説き、顕彰に努めた。師の人生をなぞるかのように急逝する直前まで、手ずから諸雑誌を収集し、なめるように編集配列に意を用いつづけた随筆の数々。本書は時空を超えた「魂の感応」の産物というにふさわしい。
内容説明
昭和七年一月、芝公園内で窮死した私小説作家・藤澤清造。その三十五年後に生まれ、「歿後弟子」を自称した西村賢太は、その作品の文学的価値を説き、顕彰に努めた。師の人生をなぞるかのごとき急逝の直前まで、西村はなめるように諸雑誌を収集し、劇評家でもあった藤澤の随筆を拾い出しては、編集・配列に意を用いつづけた。そうして生まれた本書こそ、まさに時空を超えた「魂の感応」の産物である。
目次
1(莫迦の世迷い言)
2(根津権現前より;城山のほとり;大待宵草の花;貧故の寃罪;頭の中の時計;感想断片;重忠役者と岩永役者;俳優種々相;動物影絵;不愉快な思いで―松竹キネマにいた時のこと;ぐうたら漫談―「根津権現裏」時代;自分自身に与うる詞;平賀元義を憶う;錦絵物語;病院から帰って;わが家の富士;法界坊礼讃;気に入らない;雪へする落書;謎のおんな;「玉の井」と「亀戸」;啜泣く風景;「金」と「恋」と;無産者の結婚の悲哀;新婚か悔恨か;塩の正月;独身者は寂し)
3(演劇無駄談義;歌舞伎劇保存に就いて―三宅周太郎君へ;火と風とに捧ぐ;築地小劇場のこと;猿之助を憫れむ;画龍点睛を欠く;是何んの故ぞ;近代劇と金;犬の遠吠え;文明的復讐;喧嘩の前触;外は是〓の声)
4(斎藤緑雨の一面;雑記帳抜萃;渠に云いたいこと;苦吟力行の人;いまの創作家のこと;神経質過ぎる者は誰ぞや;小蟹の愚痴;「元日や」の原句―芥川龍之介の三周忌に;フロックコートと龍之介;昼寝から覚めて;作家の態度;友に贈る;冷笑の前へ;「一夜」について;「恥」と「〓」;〓のつきッぱなし)
5(屠蘇危言)
著者等紹介
藤澤清造[フジサワセイゾウ]
1889・10・28‐1932・1・29。小説家。石川県鹿島郡(現・七尾市)生まれ。尋常高等小学校を卒業後に市内で働き始めるが、程なくして右脚に骨髄炎を患い手術、自宅療養の期間を過ごす。役者を志して1906年に上京。足の後遺症で断念したのちは各種職業を変遷する。『演芸画報』誌訪問記者時代に、同誌等に劇評や機筆を発表。1922年に長篇小説『根津権現裏』を三上於菟吉の尽力で書き下ろし刊行し、島崎藤村、田山花袋らの賞讃を得る。以降、精力的に創作を発表するも、作への不評が相次いで凋落。長年の悪所通いによる性病が因で精神に変調を来たし、内妻への暴力行為、彷徨しての警察への勾留等が続いた末に失踪。厳寒の芝公園内ベンチで凍死体となっているのを発見される。当初は身元不明の行路病者として荼毘に付された
西村賢太[ニシムラケンタ]
1967・7・12~2022・2・5。小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間文芸新人賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Shinya Fukuda
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chuji