出版社内容情報
黒木 渚[クロキ ナギサ]
著・文・その他
内容説明
挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ―。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
著者等紹介
黒木渚[クロキナギサ]
宮崎県出身。大学時代に作詞作曲を始め、ライブ活動を開始。文学の研究にも没頭し、大学院まで進む。2012年に「あたしの心臓あげる」で歌手デビュー。2014年からソロ活動を開始。2017年にアルバム『自由律』限定盤Aの付録として書き下ろされた小説「壁の鹿」を、『本性』と同時に刊行し小説家としての活動も始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KOBEKKO
3
家を出て外に過程を持った父との確執。心にガッツリ抱えつつ、いろんなモノを象徴してるであろうミッション系の全寮制の私立高校生活。クセのある友達に寮母の娘…断片的に触れてくれるのが興味深い。 読み終えてから黒木渚の檸檬の棘を改めて聴いてみたんですが、しーちゃんへは強烈。しかもこの手紙がお守りやったんやろ?!全てひっくるめて檸檬で棘なんやろな。楽しめました。2024/11/04
tekewo
2
黒木渚の家族、特に父親との確執を描く私小説。 小説にすることで父親のことを消化できたのでしょうか。自分の家族と重なる部分もあり、なかなか強烈だった。 2022/07/11
さーや
1
人を憎むことで生きていく、人間の浅ましさ、汚さ。 その描写がすばらしい2023/05/16
あこ
1
大好きなアーティストさんの本で、読んでなかったので文庫になるのを機に読みました。 家族を捨てた父親への憎悪や、日々湧き出る感情、世界への恨みみたいな感情から目を逸らすことを許さない文章だなと思いました。人からするとたいしたことじゃないかもしれない。でも、私にはこれが世界のすべてだと訴えられたような気になりました。 最後の二行がすべてを表してると思います。2022/06/20