出版社内容情報
谷川 多佳子[タニガワ タカコ]
著・文・その他
内容説明
古代ギリシア以来、メランコリーは芸術・医学・哲学により、狂気・病理・天才など、さまざまな価値と表現を与えられてきた。中世キリスト教世界では、鬱は怠惰と同一視され罪となるが、ルネサンスにおいて復権し、創造的知性な幾何学的思考と結びつく。近代に入りデカルトが現れると、メランコリーの病理は心身の相互作用によって説明されるようになった。そして現代、それは不安や抑鬱として治療の対象となり、フロイトやラカンが精神分析によるアプローチを開始する。…人類とメランコリーの絡まり合う系譜を辿ることで明かされる、不安と災厄の時代を知的に捉え、生き抜くための歴史絵巻!
目次
第1章 古代から中世へ(古代の苦悩;病理から気質へ―四体液説;天才の憂鬱―プラトンからアリストテレスへ;医学の中世;土星のメランコリー)
第2章 ルネサンスと宗教改革(幾何学の憂鬱;宗教改革;遠近法の誕生;宗教的メランコリー)
第3章 近代の始まり(モンテーニュ;デカルト;治療されるメランコリー;バロックの想像力)
第4章 現代へ(精神医学と悪魔;精神分析の登場;喪とメランコリー;根源的な喪失)
著者等紹介
谷川多佳子[タニガワタカコ]
1948年、東京都生まれ。パリ第一大学博士課程修了(哲学博士)。専攻は近世哲学。筑波大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
6
再読。古代ギリシャに始まる、鬱・メランコリーをめぐる芸術上の表現、医学の進展、哲学者たちの言及をたどる。アリストテレスの肯定的なメランコリー論。メランコリーと土星の結びつきはどこから来たのか。本人も憂鬱質だったデューラー以降、メランコリーと幾何学や知性が結びついていった流れと、その宗教的な背景(宗教改革、悪魔を信じるメンタリティの後退など)について。モンテーニュの自己省察やフロイトの精神分析、ジャコメッティの頭部の件が面白かった。2025/02/26
バケツ
4
図書館本。時間がとれず走り読みだが非常に良かった。購入決定。2023/04/28
takao
2
ふむ2023/06/11
Go Extreme
1
メランコリーの形姿は古代ギリシャに始まる メランコリーの系譜のもつ豊かな水脈 多様な文化的資源が交錯する 古代から中世へ: 古代の苦悩 病理から気質へ―四体液説 天才の憂鬱―プラトンからアリストテレスへ 医学の中世 土星のメランコリー ルネサンスと宗教改革: 幾何学の憂鬱 宗教改革 遠近法の誕生 宗教的メランコリー 近代の始まり: モンテーニュ デカルト 治療されるメランコリー バロックの想像力 現代へ: 精神医学と悪魔 精神分析の登場 喪とメランコリー 根源的な喪失 ロダンの考える人・憂鬱質のポ―ズ2022/07/11
河村祐介
0
憂鬱の受容と表現、解釈、そして治療へといいますか。ちょいと中世・近代・現代の西洋哲学の素養が結構ないとつらいかもというのは若干。2022/11/07
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