出版社内容情報
滝口 悠生[タキグチ ユウショウ]
著・文・その他
内容説明
池袋から二つ目の地上駅、東長崎にある古アパート「かたばみ荘」では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して…。高架の下に広がる町に人々が暮らし、小さなドラマが繰り広げられる。住人と関係者の記憶と語りで綴られていく、十六年間の物語。
著者等紹介
滝口悠生[タキグチユウショウ]
1982年、東京都生まれ。2011年、「楽器」で新潮新人賞を受賞し、デビュー。2015年、『愛と人生』で野間文芸新人賞を受賞。2016年、「死んでいない者」で芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
102
ゆっくり世界観に浸りたい方・豊島区や練馬区に縁のある方に読んでほしい本になっている!東長崎にあるかたばみ荘。ここはとても古いアパートになっているがちょっと変わっている。家賃は3万円。激安である。その代わりあるルールがある。住んでいる人が引っ越す際、次の住人を見つけなければならないというルールである。この本はそんな縁で住む人が繋がるアパートの住人やその友人の物語である。人が人を結んで話が広がる。ここに登場する人物が物語を語るためその登場人物のテンポが違うことに驚く。面白く誰にでも読める本になっている!2022/11/21
佐島楓
60
アパート「かたばみ荘」の住人の物語。とても面白く読んだ。自分では比較的まともだと思って生きている人でも、他人からはかなり変わった人だと思われていることはままある。そういった人間の面白さが存分に描かれている。2022/05/29
かみぶくろ
52
3.8/5.0 アパート住人とその周辺人物によるリレー形式で語られる、一人称パワー全開の物語。なんとも豊かで伸びやかな語りが続き、読んでいるというより聞いているような感覚になる。それぞれの語りにも個性があり、聞き心地もよく、基本みんな良い人で、穏やかな気持ちになれる。そういう小説を求めている人には素晴らしい作品だと思います。2024/01/28
三代目けんこと
39
誰に語っているのだろうと思いながら読んでて、最後の方でバッチリつながる。なんだか凄く良かった。2022/09/01
ろここ
27
群像劇と伏線回収が好きな私にクリーンヒット。家賃格安のボロアパートは、退去する時に次の住人を紹介しなければならない。住人と周辺人物から語られる様々な出来事が少しずつ重なっていくー。そして思わぬ繋がりと爽やかなラスト。 いろんな人の人生の欠片を垣間見る、小説の醍醐味を味わった。 解説を読んで、さりげなく読んでいたところがすごい技術だったと気付く。視点の移動かー。2022/10/11