出版社内容情報
燃え殻[モエガラ]
著・文・その他
内容説明
都会に消費され、導かれるようにたどり着いた湯布院の宿。美しい二人の女と湯けむりに幻惑され、男は、日常との境界を見失っていく―百日滞在してしまったら、君は綺麗さっぱりこの世界から溶けてなくなってしまいますからね。朗読劇と小説が溶け合い、響き合い、不思議の世界に迷い込む。燃え殻が誘うミステリアスな物語。朗読劇DVD+書き下ろし原作小説、完全限定版!
著者等紹介
燃え殻[モエガラ]
1973年神奈川県生まれ。小説家、エッセイスト。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちびbookworm
98
幻想小説?著者初ですが代表作から読むべきでした。限界まで東京で働いていた男がある男の勧めで、湯布院へ旅行する。そこから記憶と経験と感覚と幻覚と民話と女たちが全て混濁し、混沌とする。自堕落的、夢遊病的な、幻惑小説。好きな人は好きかも。ただ描写は素晴らしかった。オーディブル(安藤政信朗読)は聞きやすかった。2023/05/13
シャコタンブルー
62
日々の仕事に追われ、オンもオフも無い現実。精神的疲労と慢性の睡眠不足が常態化している。何が現実で何が幻だろう。何が楽しくて何が悲しいだろう。人生に疲れ、行きつく先は「死」だけかも知れない。そんな男が旅立った場所が湯布院の日女の宿だ。そこで出会った二人の女との幻想的な日々が綴られている。温泉に入り、眠り、夢想する。いつの間にか過去に戻り、昔の女と再会する事もあれば、小学生の授業参観の日に戻る時もある。あらゆるものが変幻自在に変化し、いつの間にか煩悩が溶けて行くよう不思議な感覚を味わった。2022/09/07
33 kouch
29
「死にたいと言うことは遠くに行きたいということだ。旅に出なさい」。社会の中で良くも悪くも神経を使い過ぎると、力がでなくなる、そして虚無感に襲われる。そして継続するとノイローゼ、そして死を考える。自分自身がそうならないのは運がいいだけだとよく考えることがある。この主人公も運がよく、旅を勧められる。終始、白濁の湯けむりでまどろんだ気分に陥りそうな艶美な物語。2023/06/04
まぁみ
13
面白かった。終始とりとめのない物語。一人の男性の人生を垣間見たけれど、魅力的な出来事はさほど無い(笑)。湯布院と言う場所と100日と言う呪いのような状況から…ここまで不思議な世界観を醸し出すとは。なんとも言えない感覚でした。忙しい日々に疲労を感じ、死にたくなる前に、立ち止まって自分の人生を見つめ直すといい。その場所で、ね。湯布院かあ、死にたいとは思っていないけれど…行ってみたいなあ。2023/05/15
Tiny
5
しっとりと艶やかで、自分がどこにいるのかフワフワと分からなくなる浮遊感のある怖さ。美しい物語でした。2023/07/27
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