出版社内容情報
松素 めぐり[マツモト メグリ]
著・文・その他
おとない ちあき[オトナイ チアキ]
イラスト
内容説明
かねやま本館の“ウラ側”が、明らかに…!妖しげな女将とおいしいごはんで、いま、いちばん中学生を癒やしている、「かねやま本館。」、シリーズ第4巻!
著者等紹介
松素めぐり[マツモトメグリ]
1985年生まれ。東京都出身。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。『保健室経由、かねやま本館。』で第60回講談社児童文学新人賞を、「保健室経由、かねやま本館。」シリーズ1~3巻で第50回児童文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
79
かねやま④中学生専用温泉「かねやま本館」の中の人の話。昭和20年生まれ76歳の宮藤常彦は病気で死んでしまった。人付き合いが苦手で素直になれない孫娘の朋佳ことが心残りで仕方がない。〈おもかげの大イチョウ〉で朋佳の窮状を知った常彦は、クジョーと名前と姿を変え、かねやま本館で働き始める。いつでも見守っていると祈る気持ち、思いやる気持ちが朋佳に通じるように、おにぎりをにぎる。▽夜の暗い海で落ち込む朋佳に、希望の光を届けようと「晴れ乞い」をする場面がいい。「休む」ことの大切さがわかる。子どもの力を信じる。2022/04/03
future4227
50
精神的にちょっと疲れたときに読んでみたくなるこのシリーズ。これまでは温泉を訪ねてくる中学生が主人公だったが、今作はかねやま本館側からの視点で描かれる。これまで謎だったかねやま本館の真相や第二保健室の金山先生の正体が明かされる。コミュニケーションがうまくとれずに、殻に閉じこもってしまう朋佳と孫の長所を理解してゆっくりと心を通わせていく祖父。大切な人が亡くなっても、会えなくなっても、きっとどこかで守ってくれているんだろう。ふとした拍子に美しい景色を見かけたら、それはあっちの世界の人たちの祈りに違いない。2022/03/24
ぶんこ
48
今回は訪れる中学生側ではなく、かねやま本館と近くの雨後横丁の皆さん側からのお話。とても良かったです。こっちの世界の人たちが、あっちの世界で行き場を無くしている子どもたちにお休み処を与えたいと強く思っていること。あっちの世界での、心動かされる絶景、自然現象が、こっちの世界の人たちが力を合わせて祈った「天気になあ〜れ!」の『晴れ乞い』の結晶だったとは!感動でした。誰とも打ち解けない朋佳を心配するあまり、死してもなお力づけたいと、かねやま本館で働きだしたおじい。マイナス思考だった朋佳がプラス思考に変化、最高。2023/10/18
がらくたどん
48
3巻で不思議な湯治場「かねやま本館」の由来も明かされた上での「種明かし」。綺麗なお風呂・気持ち良いタオルや着替え・美味しい料理を供する舞台裏を覗ける好奇心は大満足。でも、それだけではない。大事な孫を残して死んでしまったクジョーさん。周囲に裏切られるのが怖くて壁に閉じこもる孫が心配で「かねやま本館」に就職を果たす。その仕事を通して明らかになる「他界」に息づく現を生きる子供たちへの祈りの数々。晴れますように・癒えますように。お休み処はきっとあるし祈ってくれている人もきっといる。このシリーズが作者の祈りでもある2022/05/28
モモ
47
シリーズ4巻目。少し意地っ張りで、誰とも打ち解けない孫の朋佳を気にかけながら亡くなったクジョー。孫を大事に思う人はいっぱいいるんだよと伝えたいと願うも…。少し疲れた心にちょうどいい。中学生にも大人にも優しい一冊。私もこんな悩み別の効能がある温泉につかってみたい。2022/03/20