出版社内容情報
武内 涼[タケウチ リョウ]
著・文・その他
内容説明
出雲より上洛した若者が見たのは、荒れ果てた街で享楽に耽る権門。そして、貧苦に喘ぐ民の姿だった。徒手空拳の身から、ついには山陰山陽十一ヵ国の太守となった男、尼子経久。「謀聖」と称された男は如何にして城を盗り、国を奪ったのか。「真の下剋上」を志した男の生涯を描く書き下ろし歴史長編、開幕。
著者等紹介
武内涼[タケウチリョウ]
1978年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011年にデビュー。’15年「妖草師」シリーズが徳間文庫大賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
65
600頁超えの大作。果たして読み終える事が出来るのか?の危惧も他所に大いに楽しみ無事読了。尼子経久伝、真に天晴れ!!今の政治家達に読ませたいと何度思った事か。己を捨てどんな逆風に遭っても民の幸せを第一にする心の強さに真の武士を見た。民の幸せと己個人の大切なものを天秤にかけても民の幸せをとり、失った大切な人々の思いも一身に背負う若き武士・尼子経久。約600ページでは時には笑い、時には怒り、最後には悲しみと感動で涙する。全く飽きさせない仕上がりだ。その後の尼子経久も知りたくなる。是非続きを書いて欲しい。2022/01/07
Wan-Nyans
40
面白い!!640ページがあっという間。分厚いので買うかどうか迷ったけど買った後でこの一冊で完結しないことに気付いた。ただ、読んだ後は早く続きが読みたい気持ちで一杯。山陰の覇者・尼子経久の青年期を生き生きと魅力的に描き切ったこの「青雲の章」の続編はいつ刊行される?経久の”謀聖”としての計り知れない才能、艱難辛苦を乗り越え既存権力に立ち向かう姿、世の中の不平等を憎み民を思う優しさ……男でも惚れてしまう。文庫書き下ろしだけに暫く会えないのが残念(^^;2022/03/18
如水
32
やっとか、やっとこの人物の長編が読めるのか~!!が感想💦『謀聖』『雲州の狼』事、尼子経久が主人公。御話は応仁の乱ほぼ終戦後の京都から。遊学の為上京して来た又四郎(後の経久)は惨状を見て愕然し、やがて一つの答えにたどり着く…物語の構成、時代の背景がメチャ分かり易く、かつ600P強と言う大作なのに疲れない。凄いッス!!-この男…城も、領土も、地位も、ほぼ全ての家来も、兵も、敵に奪われ、今や己の身と弟、郎党二人がのこるばかり。なのに…-戦国時代で下剋上を完遂した男の生き様は何と晴々したものか!?(本巻は😅)2023/05/24
昼夜
24
最初は歴史に疎い上に600を超える頁に恐れ慄きましたが尼子経久という武将の人となりを見ているうちに永田町にいる奴らに爪の垢を飲ませたい、彼の下に十二国記の麒麟が来るはずなのにと思いながら本当に来ていたら日本にはいないことになるしとジレンマが襲いつつ艱難辛苦の先に民の幸せを目指す彼の背中と志「謀聖」の希望の光が胸を熱くさせました。2022/01/26
onasu
21
尼子経久を毛利元就の文脈でしか読んでいなかったとは不覚、否、嬉しい漏れで、それも雲州に湧きたつ折から読めるとは、久々に夜更かし&一気読みとなりました。 「青雲の章」とは、月山富田城を奪い返す(ここらも未知!)までを描いた初編のようで、京の京極家(雲州の守護)に向かうところから。京では幼馴染みの女人を探し当てるが…という彩りも添えて、応仁の乱後期の戦い、東国の風雲児となる男との出会い、雲州に戻って後、一旦は守護代を継ぐも一族で追放され、再起を図る降りと大著も飽きることがない。続編が楽しみになる嚆矢でした。2022/03/07