出版社内容情報
勤めていた大学に辞表を出し、寂れた島に仮初の棲み処を求めた迫村。月を愛でながら己の影と対話し、南方から流れついた女と愛し合い、地下へ降りて思いがけぬ光景を目にし、現実とも虚構ともつかぬ時間が過ぎていく。この自由も、再生も、幻なのか? 耽美と迷宮的悦楽に満ちた傑作長篇。読売文学賞受賞作。
内容説明
ある半島と橋でつながる、寂れた小さな島。勤め先の大学に辞表を出した迫村は、かつて訪れたその島に漂い流れるように仮初の棲み処を定めた。月を愛でながら己の影と対話し、謎めいた女と愛し合い、かつての教え子と再会し、地下で思いがけない光景を目にする。虚と実が渾然とした時間の流れの中で、行き着いた先は―。迷宮的な悦楽と思索に満ちた傑作。読売文学賞受賞作。
著者等紹介
松浦寿輝[マツウラヒサキ]
1954・3・18~。詩人、小説家、批評家。東京生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス分科卒業、同大学院人文科学研究科フランス文学専攻博士課程中途退学。パリ第3大学博士学位取得。東京大学教養学部外国語科助教授等を経て、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻教授。2012年3月、退官。1988年『冬の本』で高見順賞、95年『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞、96年『折口信夫論』で三島由紀夫賞、『平面論―一八八〇年代西欧』で渋沢・クローデル賞平山郁夫特別賞、2000年『知の庭園』で芸術選奨文部大臣賞評論等部門、同年「花腐し」で芥川賞、2005年『あやめ 鰈 ひかがみ』で木山捷平文学賞、『半島』で読売文学賞、2009年『吃水都市』で萩原朔太郎賞、2014年『afterward』で鮎川信夫賞、2015年『明治の表象空間』で毎日芸術賞、2017年『名誉と恍惚』で谷崎潤一郎賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞、2019年、日本藝術院賞、同年『人外』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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