最終列車

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最終列車

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  • サイズ 46判/ページ数 328p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784065263525
  • NDC分類 686.21
  • Cコード C0036

出版社内容情報

いま、新型コロナウィルスが猖獗をきわめていますが、これもいつかは終息することでしょう。しかし、コロナは日本人の生活の形式(エートスといっていいかもしれません)を確実に変えました。
 コロナ禍が終息し、国内外の観光客が戻ってきても、日本の鉄道はかつての姿を取り戻すことはないでしょう。通勤客が以前と同じ程度にまで戻ることはなく、出張のための移動も減るに違いありません。ある調査では、3割程度の会社員が感染終息後もリモートワークを続けるという見通しが出されています。
 正確にいえば、すでにコロナ禍の前から、少子高齢化による通勤客の減少や、それにともなうラッシュ時の混雑率の低下が都市部の多くの鉄道で少しずつ起こっていました。これは「小林一三モデル」の崩壊といえるでしょう。
 阪急の創業者、小林一三は、1910(明治43)年に箕面有馬電気軌道(現・阪急宝塚線および箕面線)を開業させたのと同時に、沿線の池田に分譲住宅地を開発し、梅田までの通勤客をつくり出すことで、私鉄会社の経営を軌道に乗せました。この手法は後に、東急など多くの私鉄が模倣するようになり、世界でも珍しい私鉄経営のビジネスモデルとして称揚されました。ところがコロナ禍によって、一世紀以上にわたって続いてきたこのモデルが通用しなくなる時代が本格的に到来したのです。
 戦争も自然災害も鉄道に甚大な被害をもたらしたが、復旧すれば客が戻ってきました。一方、コロナ禍は利用客の完全な回復を困難にした点で、戦争や自然災害を上回る危機を鉄道業界にもたらしたことになります。
 では、コロナ禍という未曽有の危機から脱却し、鉄道業がふたたび脚光を浴びる可能性はあるのでしょうか。ポストコロナの時代にふさわしい新たな価値を、鉄道は創り出すことができるのでしょうか。
 著者の原氏は2019年まで講談社のPR誌『本』(2020年休刊)「鉄道ひとつばなし」を長期連載し、多くの読者を楽しませてくれました。本書は同連載のうち単行本化されていないものを収録し、あらたに「ポストコロナ時代の鉄道」についての考察を加えたものです。鉄学者原氏にとって本書は、文字どおり「最終列車」であると同時に、氏の思索の「ダイヤ改正」と「始発列車」の予告となるものです。

内容説明

コロナ禍は鉄道という交通手段の本質をあぶり出した!四季の車窓から日本近代150年の歴史と先人に思いを馳せる「鉄学者」は、マスクをし、スマホを握りしめる乗客とともに傷みきった社会で公共性は再建できるのかを問う。愛と哀しみのレールエッセイ。

目次

菊と鉄道
駅と西武と
鉄路の空間政治学
年々歳々
列車はなにを運ぶのか?
鉄道と私
コロナと鉄道

著者等紹介

原武史[ハラタケシ]
1962年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。山梨学院大学、明治学院大学を経て、放送大学教授、明治学院大学名誉教授。専攻は日本政治思想史。『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社)でサントリー学芸賞、『大正天皇』(朝日新聞社)で毎日出版文化賞、『滝山コミューン一九七四』(講談社)で講談社ノンフィクション賞、『昭和天皇』(岩波書店)で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。