出版社内容情報
芭蕉の名句の多くは旅の中で生まれた。「奥の細道」をはじめ、春夏秋冬の旅で詠まれた80句を選び、的確で美しい英訳と現代語訳、親しみやすい解説で芭蕉の新たな魅力を伝える、最良のガイドブック!
内容説明
旅人と我名よばれん初しぐれ―First winter showers!call me by my true name―Traveler!英訳・現代語訳・解説で、芭蕉の魅力を味わう一冊!
目次
春の旅(大津絵の…;むめがゝに… ほか)
夏の旅(暫時は…;落くるや… ほか)
秋の旅(荒海や…;牛部やに… ほか)
冬の旅(旅人と…;初しぐれ… ほか)
著者等紹介
マクミラン,ピーター・J.[マクミラン,ピーターJ.] [MacMillan,Peter]
翻訳家・詩人。アイルランド生まれ。アイルランド国立大学ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンを首席で卒業後、同大学院で哲学の修士号、その後、米国で英文学の博士号を取得。プリンストン、コロンビア、オクスフォードの各大学で客員研究員を務める。渡日後は杏林大学教授、東京女子大学講師を歴任。現在は東京大学非常勤講師を務める。2008年に英訳『百人一首』を出版し、日米で翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ピンガペンギン
23
著者・翻訳者は「百人一首」の翻訳で日米で翻訳賞を受賞されているピーター・マクミラン氏。アイルランド出身で詩人でもある。芭蕉の句を読むと故郷の風景の記憶がよみがえってくるという。(雉の句を読み、家の前の畑で雉をよく見かけたことを思うなど。)どの文化圏で育ったかより、自然に親しんだ体験が多い人の方が植物・動物をよく詠んだ芭蕉の世界を理解しやすいのかもしれない。「どむみりとあふちや雨の花曇」「おおち」は栴檀のこと。枕草子にも風情のある花として出てくるという。→2024/06/09
呑司 ゛クリケット“苅岡
1
人は、特に男は動かないでいると人生の澱が溜まって腐ってしまう。それを防ぐ唯一の方法が旅することだと言った本がいた。そのことを思い出す事が出来た。古典の芭蕉を英訳してくれた著者はアイルランド人だ。句には必ず詠まれた背景がある。その背景にはその人の原風景が 含まれるのだからアイルランドの原風景で解説するのかと思っていたら、日本のその時代には立ち返って解説してくれた。読み進む中です、彼の旅もスケールが大きいと感じた。2023/08/20
笛の人
1
今回は古典の翻訳本です。 ただ、英訳が載せてあるだけで、解説等は日本語で書かれているため、読むのはそれほど苦労しません。やはり言語が変わると概念が変わるので、色々な工夫がされているようでした。例えば「春雨やふた葉にもゆる茄子種」という句。アメリカ英語の「eggplant」ではなく、イギリス英語の「aubergine」の方が、フランス語、カタロニア語、アラビア語、サンスクリット語などの諸国の言語にルーツがあり、古の響きを持った趣のある言葉だから、あえてイギリス英語を使ったということです。2023/07/11