出版社内容情報
呉座 勇一[ゴザ ユウイチ]
著・文・その他
内容説明
日本史を変えた「鎌倉殿」と「執権」という二人の政治家。源平合戦から承久の乱まで―武士中心の社会は、いかにして生まれたか?朝廷と幕府の関係が劇的に転換する日本史上の画期を描き出す一冊。
目次
第1章 伊豆の流人
第2章 鎌倉殿の誕生
第3章 東海道の惣官
第4章 征夷大将軍
第5章 頼朝の「家子専一」
第6章 父との相克
第7章 「執権」義時
第8章 承久の乱
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
146
政治家にはその集団の理想を掲げて象徴的代表に仰がれる者と、組織運営や課題解決にあたる実務者とがある。頼朝は双方を兼備した大政治家であったからこそ、東国の武士をまとめて史上初の武家政権樹立を成し遂げた。しかし彼の死後、頼りない後継の頼家、実朝に動揺する鎌倉幕府を実務者の義時は懸命に支える。源氏将軍から親王将軍への転換も、担ぐ神輿が立派ならかまわないとの義時の冷静な判断だろう。これに対し古来からの朝廷権力を信じて疑わない後鳥羽上皇は、理想を求めて現実を見ていなかった。両者の衝突は現実側が勝って当然だったのだ。2021/12/13
六点
123
本来なら,本年度NHK大河ドラマの時代考証担当による、わかりやすい副読本になる予定であった一書。公武対立史観を批判し、井沢元彦氏を『定説の日本史』と当てこすったりするなど、「そういうところだぞ」と言いたくなる所もあり。最新の成果を元に、「国民的悲劇」の古典である所の『平家物語』と、それに対置される鎌倉幕府の成立を、現在の研究成果で描き直せば、「義経は強すぎた故に関東武士に見放された」など、この時代については知識がアップデートされることは間違いない。是非ご一読をと、お勧めする。2022/01/29
南北
88
「鎌倉殿の13人」で興味を持ったのと、著者の「陰謀の日本中世史」が面白かったので読んでみた。スターリンに例えられることもある頼朝が意外と情に厚いところがあるなどを「吾妻鏡」等の資料を批判的に読むことで解明している。今の教科書では1185年となっている鎌倉幕府成立もあまり根拠がないという指摘は興味深かった。後半は北条義時の生涯を追うことで頼朝以後の時代が頼朝の時代とどう変化してきたかが理解できたと思う。戦前は承久の乱が原因で悪人とされた義時に対する見方は一面的でしかないのだと再認識できたのは良かった。2022/04/27
チャーリブ
72
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に触発されて読んでみた。一言で言うと頼朝や義時、あるいは鎌倉幕府の成立に対して漠然と抱いていた先入観が揺らぐ内容だった。たとえば、従来言われているように頼朝は冷酷非情な人物というよりも非情な面と感激屋の面を併せ持つ二面性の人物らしいことなど。これはドラマの「鎌倉殿」にも反映されているかもしれない。ドラマはドラマだが、実際のところ彼ら二人が幕府創成期にどのように考え、行動したのか。著者の理解はおおむね妥当かなと思った。義時は相当の強運の持ち主だったらしい。○2022/02/21
koji
68
「鎌倉殿の13人」の副読本として。大河の三谷さんは、「吾妻鏡」に忠実に書いているそうですが、本作の呉座先生は、北条史観の「吾妻鏡」を批判的に考察し論を進めています。そこも含めて、平安末期から鎌倉幕府初期の理解が深まりました。それでは江戸末期まで700年近く続く武家政権の始まりである鎌倉時代の成立をどう評価するか。私には、多分に偶然的要素もあるが、頼朝の猜疑心、東方武士の気質、北条義時の忠義さが武家政権成立の大きな要因であり、更には、ここで成立した武家政権のシステムが今でも私達に影響を与えたことを感じました2022/11/06
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