出版社内容情報
ニュースという名の「悪意」――。
累計75万部突破『罪の声』の著者、真骨頂の報道小説!
地方紙記者の沢村は、調査報道チームのデスクから一枚の写真を見せられる。
同僚記者が、ひき逃げ事件の犯行車両とスクープしたものだ。
「この車、遺族宅にあるらしい」。
沢村は取材へ急行する。
犯人は家族なのか――(「黒い依頼」)。
「誤報」を通じて現代社会の虚と実に迫る、著者会心の傑作。
NHKドラマ原作
吉川英治文学新人賞受賞作
解説 武田砂鉄(ライター)
内容説明
地方紙記者の沢村は、調査報道チームのデスクから一枚の写真を見せられる。同僚記者が、ひき逃げ事件の犯行車両とスクープしたものだ。「この車、遺族宅にあるらしい」。沢村は取材へ急行する。犯人は家族なのか(「黒い依頼」)。「誤報」を通じて現代社会の虚と実に迫る、著者会心の傑作。吉川英治文学新人賞受賞作。
著者等紹介
塩田武士[シオタタケシ]
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、神戸新聞社に勤務。2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞’11年、将棋ペンクラブ大賞を受賞。’12年、神戸神聞社を退社。’16年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞。同書は「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、第14回本屋大賞第3位にも選ばれた。’19年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
82
え?え?これで終わり??2022/04/08
HANA
81
「誤報」「捏造」をテーマにした連作短編集。最近特に巷を賑せているフェイクニュースであるが、マスコミはネットをネットはマスコミを、お互いそう呼んで憚らない現実がある。読む前は誤報についてそれに振り回される人間の話かと予想していたが、読んでいると問題はそれどころではなくもっと根深いものであった。新聞やTVなど情報の発信源であるがゆえにそれに振り回される様や、時代の最先端を自任しそれとは無縁のようなネットニュースもまた然り。本書は小説であるが、いつの日か起こっても不思議ではないような怖いリアリティも感じました。2021/12/01
オーウェン
63
各章の冒頭に新聞記事が載っており、それらを絡めて実は誤報だとしたらという展開。どの章もその誤報がいかにして発生したのか。またそれに対し新聞記者がどういう対応を取るのかが見もの。 1章の「黒い依頼」から、どんよりする展開を見せるが、誤報を載せたから謝罪記事ではい終わりではないということ。 大衆から個人へと移行する様がなんとも心苦しい。 そして4章までのまとめが5章へと繋がっていき、実は裏の壮大な組織が種明かしされる。 これは明らかに長編にして、じっくりと推移を見たいのだが、塩田さん書いてくれませんかねえ。2025/02/18
あきら
58
すべてはフェイクなのか。何を信じたらいいのか。 構成があまりに巧妙で、とてつもない奥行き。 途中まで読み進めて理解していた世界の狭さを後半で思い知る。 闇の深い小説です。 2021/11/28
ピース
52
マスコミについて考えさせられた。新聞に書かれていることが必ずしも真実ではない。誤報や捏造があるからだ。ならばネットの情報が正しいかといえばこれも同じだ。しかし情報は新聞、テレビ、ネットから得ることがほとんどだ。これらの情報を最初から疑うという訳ではないが鵜呑みにするのではなく自分でも考えることに気を配っていきたい。2022/06/13