出版社内容情報
長嶋 有[ナガシマ ユウ]
著・文・その他
内容説明
無数のルーティンで、世界は回っている。作家と漫画家夫婦と2歳の娘がおくる、コロナ下のかけがえのない日常。
著者等紹介
長嶋有[ナガシマユウ]
1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で第126回芥川賞、’07年の『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞し、’08年には『ジャージの二人』が映画化された。’16年『三の隣は五号室』で第52回谷崎潤一郎賞受賞。小説の他、コミック作品、エッセイ集、句集がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
118
小説家のご主人、漫画家の奥様、三歳のお子さんのコロナとともにある日常がユーモラスで淡々とホのワカないい家族。文章がなにより好き。漫画家の締め切りは作家の比ではない、奥様の修羅場が「漫勉」の東村アキコさんの回を思い出し、リアルに様子が思い浮かんだ。家事分担、保育園の送迎、公園でのソーシャルディスタンス、遊具にキープアウトの黄色いテープ。私も孫と公園で同じ光景を目にします。コロナでも家族のルーティーンは続く。電動ママチャリの躍動は母の力が突進してくる子育てのエネルギーの発露だ。私も孫を乗せ走って実感します。2022/02/18
pohcho
58
小説家の夫と漫画家の妻、もうすぐ3歳になる娘。3人家族の日常が描かれる。コロナで緊急事態宣言が発令された一昨年の春、公園のブランコが使えなくなっていて、「ディストピア」という言葉を連想する夫。でも、現実にあるディストピアは、子連れであれば尚更、どこかのんびりと時間が過ぎていくのだった。長嶋さんの小説を読むといつも実在する人の話なのかなと勘違いするくらいリアルな感じがするのだが、今作は夫が長嶋さんそのもので、私小説の趣があった(でもそうではないんだよね?よく知らないけど)2022/05/19
ぶんこ
57
小説と思っていたら、エッセイ?小説家の夫と漫画家の妻、そして2歳の娘のコロナ禍でのゴールデンウイークでの日々。保育園が閉鎖となって夫婦交代で娘を面倒みる日々。子どものいないわたしにはピンとこなかったのですが、お子さんを育てている方にはあるあるなのでしょう。2022/03/13
olive
47
作家と漫画家の夫婦と、二歳の娘とのコロナ禍生活を描く。きっと夫妻どちらも長嶋さんがモデル?ウィキさんによると漫画で俳人でもあると書かれていたので。夫妻交互目線で描かれるコロナ禍の心情と生活変化に、わかる!わかるよー!淡々と切々とニヤリとする文体がクセになりそう~2022/02/13
ぐうぐう
47
新型コロナウイルスは、多くの自由を奪っているし、胸が張り裂けそうな悲劇を招いてもいる。「いた」ではなく「いる」と現在進行形で書かなければならないことが、さらに憂鬱にもさせるが、コロナ禍で唯一と言っていい良かった点は、日常の大切さを知ることができたことだろう。何気ない、時には退屈すら覚えていた日常が、実は輝きに満ち、かけがえのないものだったと、コロナウイルスが引き起こす不自由さによって皮肉にも私達は知ることができたのだ。長嶋有の『ルーティーンズ』は、コロナ禍で過ごす夫婦のそれこそ日常が、(つづく)2022/01/18
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