講談社現代新書<br> 長崎丸山遊廓―江戸時代のワンダーランド

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講談社現代新書
長崎丸山遊廓―江戸時代のワンダーランド

  • 赤瀬 浩【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 講談社(2021/08発売)
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  • サイズ 新書判/ページ数 368p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784065249604
  • NDC分類 384.9
  • Cコード C0221

出版社内容情報

10両程の身代金(約100万円)を背負って商売をはじめ、運と実力があれば揚代だけで年間1000万円を超え、プレゼントに至っては一度に数百万円単位で得た。その収入は本人の貯蓄のみならず家族や親戚、出身の地域社会まで潤すことができた。娘たちだけが持っている可能性を生かしたサクセスストーリーが丸山遊女にはついてまわったのである。
長崎は対外貿易港であったが、そこで取引される製品に長崎で生産されたものはなく、また貿易に携わる商人も、先の西鶴の作品にもあったようにもっぱら京大坂の大商人であった。言うなれば長崎は「場所」を提供し、貿易の事務手続きを請け負いその手数料を得るだけで、「商売」の主役ではなかった。手をこまねいているだけでは貿易の「上がり」は長崎住民の頭の上を通りすぎていくだけだった。対外貿易の「上がり」をできるだけ長崎に落とさせる、そこに他の都市の遊廓とは異なった長崎丸山遊廓の存在意義はあった。長崎において遊女が特別な存在とされたのは、なによりもまず、都市長崎があまりにも小さく、あまりにも貧しかったからだった。地場の生産力の不足を補うために都市に貿易の利益を還流させるという重要な役目を担っていたのが遊女たちであった。つまり、遊女は長崎の第一の「商品」だったのだ。
丸山遊女の多くは長崎市中や近郷の貧しい家庭の出身であった。「籠の鳥」として、親元からは切り離され、孤独な生を営むことを余儀なくされていた吉原をはじめとする他の遊廓とは異なって、長崎の場合、ほとんどの遊女は実家と密に連絡をとり、遊女となった後も地域社会の構成員としての意識をもちつづけていた。また奉行所をはじめ、都市をあげて遊女を保護し、嫌な仕事は拒むことも可能だった。長崎の街は一つの運命共同体であり、住民の生活が成り立つようにするためには、他所から訪れた商人が長崎で得た貿易の利益を丸山で揚代や贈物として吸い上げ、そのようにして得た利益を回して貧しい借家人まで潤してゆかなければならなかった。そのような「トリクルダウン」の手段として、丸山遊女の果たす役割はすこぶる大きかった。それゆえ、現代の価値にして数千万円の収入を得る可能性もある遊女は、むしろかならず、長崎市中の出身者でなければならなかったのだ。
本書では、このような視点のもと、丸山遊女が当時の人々からどのように見られていたかについては今日的な視点から早急に判断を下すことを避け、当時の人々の気持ちが想像できる資料をもとにして論じていきたい。

内容説明

唐人、オランダ人、日本人、みんな目指した大金を産む最大の地場産業。

目次

序章 長崎に丸山という所なくば…
第1章 遊廓とは
第2章 丸山遊廓とはどんな場所か
第3章 長崎丸山の遊女たち
第4章 海を渡ってくる「お得意様」―唐人たちと遊女たち
第5章 ラクダをプレゼントされた遊女―出島のオランダ人と遊女
第6章 丸山遊女の事件簿―「犯科帳」の中の遊女たち
第7章 遊廓に出る女、帰ってくる女
終章 丸山遊廓のたそがれ

著者等紹介

赤瀬浩[アカセヒロシ]
1961年、長崎市生まれ。長崎大学教育学部卒業。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。長崎県公立学校教員を経て、現在、長崎市長崎学研究所長。専門は、江戸期長崎の町人の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パトラッシュ

94
吉原、島原、新町の日本三大遊廓は小説や映画にも取り上げられるなど有名だが、ほぼ外国人専用の花街が長崎にあったとは。しかも江戸時代唯一の国際貿易港でありながら対外輸出品がなく、オランダ人や清国人に金を落としてもらうため地元の娘を集めた地場産業として遊廓がつくられたのだから。女が親兄弟を養ったり、姉妹や母娘で遊女になり生まれた子を育てるなど他の遊廓では見られぬ話に絡む悲喜劇には驚く。彼女たちこそ商人や通訳以上に日蘭日中(下半身)交流の担い手であり、外国人も現地妻たる丸山の女に貢ぐため交易に励んだとすら見える。2021/09/16

活字の旅遊人

41
丸山遊郭の成立から衰退までを辿った一冊。まずは総論、吉原との比較から入って丸山の特徴に迫る。長崎という国際都市における遊郭の役割を考えると、かなり面白い分析だ。そして遊郭に人材を送り込んでいるのが近所の人々で、遊郭で働くことが日常的であり、現代の感覚よりは明らかに賤しい職業とはみなされていなかったことが新鮮だった。清とオランダとでは、やり方が随分異なっていたというのも面白い。自分的に今まで長崎と言えば、遠藤周作を通したキリシタン話と永井隆の原爆だったのだけど、この先は丸山遊郭という視点も入るだろう。 2021/11/28

かんがく

10
吉原と異なり、国際都市長崎における遊郭は唐人やオランダ人を客とする点が特徴である。豊富な資料で遊郭の実情に迫る点は面白いが、副題の「ワンダーランド」なども含めてやや男性視点に偏りがあるようにも感じた。2024/05/15

穀雨

9
京・大阪の大商人に貿易の利益を根こそぎ持っていかれてしまう長崎が、カネを落とさせる奥の手としてつくったのが丸山遊廓だった。この認識を出発点に、国際貿易都市の遊廓として丸山が有していた、三都などとは異なる独特な慣習や文化が明らかにされている。異国人とのコミュニケーションに懸命な努力を傾ける遊女や、ときに奔放な遊女のふるまいに翻弄される遊女屋など、江戸時代の長崎のようすが生き生きと描かれていた。2022/01/02

みさと

9
江戸時代、貿易利益の一部を配分される以外に収入がなく他に産業もなかった長崎。自分たちの頭の上を通り過ぎていく大金を少しでも街に落とさせるため、町内の借家人の娘を供給源とする丸山遊郭の遊女たちに頼る構造ができあがっていった。丸山遊女たちは、外国人や大商人から揚げ代を得、貢がせたお金で親を養い、街を養ったのだった。江戸時代、長崎で丸山遊女を買うことを目的に日本に来航する者が多くいたほど、遊女たちは唐人・蘭人の心を掴んでいた。そして、遊女たちは長崎住民から尊敬される存在だった。そんな長崎丸山遊郭の栄枯盛衰物語。2021/10/06

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