出版社内容情報
あさひの母親は、心配事をあらかじめ避けたり、小さくしておいたりしてくれる人だった。
不安な時には「あさひは失敗しないから」というおまじないをかけてくれた。
そのおまじないはいつしか呪縛になってーー
大好きだったお母さんとも、大学での友達ともうまくいかなくなり、追い詰められたあさひがとる衝撃の行動とは?
第61回メフィスト賞受賞作家、待望の第二作目!
内容説明
大学2年生のあさひは、母親のことが大好きだ。…でも最近、その気持ちもよくわからない。ある日、あさひは同級生の男の子と、母親にも言えない秘密を抱えてしまう。幼い頃の記憶と繋がり明らかになる、家族の真相。追い詰められたあさひがとる衝撃の行動とは―メフィスト賞受賞第1作!
著者等紹介
真下みこと[マシタミコト]
1997年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院に在学中。2019年『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を受賞し、2020年デビュー。小説家とシンガーによるボーダレスデュオ「茜さす日に嘘を隠して」(アカウソ)にて、歌詞と小説の執筆を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
121
目立たず地味な女子大生あさひ。母親との仲がいい…を通り越して「あさひは失敗しない」というおまじないにとらわれ、母親の顔色を見、彼女のいう通りにやってきた。過干渉で娘の行動を逐一監視しないと気のすまない母…ああいやだいやだ。そしてあさひが絶対に母に知られてはいけない秘密を友人に言ってしまうと彼女がそれを洩らさないために行動に出る。一見仲がよさそうな親子、そこに潜む歪な関係。「あさひは失敗しない」それはおまじないではなく呪いの言葉。彼女が失敗をおそれず、またそれを認めた時が自立となる。若く今後楽しみな作家さん2023/01/09
machi☺︎︎゛
104
小さい頃から「あさひは失敗しない」という母親からのおまじないに守られて失敗をしない人生を送ってきたあさひ。だけど20歳を超えその言葉はあさひを追い詰め逃げ場を無くしていく。世間を知らずに育ったあさひの危うさと世間を知っている同級生との交流にすごくドキドキした。過保護でも言葉が足りないくらいのいきすぎた束縛、それが普通だと思っていたあさひはある時、その異常性に気付く。あさひにまだ正常な判断ができる力が残っていて良かった。2023/04/14
雅
82
子供を可愛過ぎる親が悪いのか?親に依存する子供が悪いのか?ちょっとパンチが弱いけど一気読みできるイヤミス2022/04/07
いたろう
78
大学2年になる今も、母親の強力な監視下に置かれている、あさひ。一方で、母親のことを強く求めて止まないあさひと母親は共依存の関係か。そのため、友人も殆どいなく、ましてや恋人もできたことがないあさひは、確かに可哀想な存在なのだけど、あさひの行動には、イライラさせられるばかりで、主人公なのに、ちっとも共感を覚えられない。ラストも、もっと何か衝撃的な展開があるのかと思いきや、え、これで終わりなの?と、消化不良の感。何だかモヤモヤしたまま終わってしまった。メフィスト賞を受賞した前作は読んでいないが、どうなのだろう。2021/12/15
sayuri
76
冒頭から不穏な空気に心がざわざわして落ちつかない。イヤミスと言うよりイヤホラな雰囲気の読み心地。娘のあさひを励ます「あさひは失敗しない」という母親のおまじない。幼い頃ならいざ知らず、大学生の娘にまでそう言い続ける母親。あさひのスマホに現在地がわかるGPSアプリを入れ、常に監視、管理する姿に、子を支配する母親の毒親ぶりが垣間見られゾッとする。一方で、母を絶対だと信じ、なんの躊躇いも疑いも持たないあさひも相当ヤバいのだ。この共依存親子に降りかかった災難。結末は尻すぼみだったが、全体に漂うイヤな感じが癖になる。2021/11/02
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