出版社内容情報
亡父の友人の厚意で、札幌の病院長の家に下宿し、医学部を目指す佐川惇一。誰もが羨む裕福な一家と思われたが、やがて彼らが世間から隠そうとする家族の闇に触れる。近くにいながら信じあえず壊れてゆく家族を目の当たりにしながら、生きることの意味を問い続ける惇一たち。再生への祈りに満ちた現代小説。
家族だからって仲がよい
とは限らない。
裕福な病院長一家を蝕むものはーー
愛と祈りの作家・三浦綾子、最後の現代小説
幸福って何だろうね
テーマは一貫している。〈人間はいかに生きるべきか〉という問いかけがそれである。その問いに全身をかけ、いちどもしりぞいたことがない。(高野斗志美「解説」より)
内容説明
亡父の友人の厚意で、札幌の病院長の家に下宿し、医学部を目指す佐川惇一。誰もが羨む裕福な一家と思われたが、やがて彼らが世間から隠そうとする家族の闇に触れる。近くにいながら信じあえず壊れてゆく家族を目の当たりにしながら、生きることの意味を問い続ける惇一たち。再生への祈りに満ちた現代小説。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922年北海道旭川市生まれ。旭川市立高女卒。教職に就くが敗戦により辞職。’46年肺結核を病み、13年の闘病生活を送る。その間キリスト教の洗礼を受け、三浦光世と結婚。’64年朝日新聞社1000万円懸賞小説に『氷点』が入選、作家生活に入る。’99年、77歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともくん
34
大学受験のために、居候している谷野井家。 何かが変。 家族なのに、皆がバラバラ。 谷野井家に住む八人、全員に秘密がある。 そして、谷野井家の娘ふたりのうち、どらかと婚約しないかと持ちかけられた… 何故、自分?! 谷野井家が家族の在り方、人間の在り方を問う。2023/07/02
きいろいとり部長
7
ちょっと前の懐かしい札幌が舞台。ほんのささいなことのように思える一言が相手には重くのしかかりそこから生じたすれ違いが怒り悲しみ寂しさを呼び二世代先までドロドロな家族。裕福な家庭に育つも反抗的な娘が放った言葉「うちには宗教がない」。信仰する宗教がないと子供は荒れるというのはどうかな。中高のときは大体皆それぞれ推しがいて救われてると思うけれど。主人公以外罪深い人たちばかりな物語だった。2023/11/26
桐一葉
3
西淑さんの画なので購入。綺麗に残しておきたくて、読む用にも買うてしもたー!どんなお話なのか全く知らずに読んだので、終始驚きながら読み進めた。なんじゃそら!って展開に思えたんやけど、説得力があって人間の弱さを改めて認識する。戦争はおそろしいし、人間は弱くて脆い。せやから優しくし合わんと平穏な日々は手に入らへんねんな。優しさはあるのに、ずっと噛み合わへんまま月日が流れているんやなって。けどそれでも生き続ける。なんかね、潔い物語に思えてしゃあないのよね。モヤっとした読後感じゃないの。清々しさがあるね。2022/01/14
ろじ
2
大先生のようにおおらかでユーモアのある人にはちょっと憧れちゃうなぁ2025/05/10
りら
2
下宿先の家族の抱える闇の深さ。その根深さに苦しい気持ちになりながら読んだ。お手伝いをしている余里子のバランス感覚でどうにか成り立っている家族。景子と式子の潔癖からくる危うさ。初美の奔放に見せながらの真面目さ。病院院長である浜雄とその妻那千子。そしてその谷野井家をまとめる陶吉。 私個人としては札幌の街並みの描写に懐かしさを覚えつつ、進んでいくに従って常軌を逸した谷野井家の恐ろしさにページを進める手がとまらなくなる。 続編はあったりするのかしら…2024/03/18
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