出版社内容情報
冬は雪で覆われる長野で、妻と娘と3人で暮らしていたスポーツインストラクターの賢治は、「まほうの家」に心を奪われる。
なんと、たった1台のエアコンで家中を暖めることができるらしい。
今住んでいる家は、寒い。意を決して家を購入するも、引っ越し直後から次々に奇妙なことが起こり始める。
新居に招いた友人の子供は何かに怯えて二度と来てくれることはなくなり、赤ん坊の瞳には何やら人影が映る。
さらに、エアコンがある地下室に入り込んだ娘は何かに捕まり泣き叫ぶ。
そこに、恐怖を上乗せするかのように、関係者の一人が不審死を遂げる。
この家には、何かがいる――。
内容説明
隙間風に苛まれる日々を脱すべく、念願の家を購入した賢二。愛する妻と娘と引っ越したそこは、団かくて快適な、まさに「まほうの家」―だったはずなのに。立て続けに起こる異変と、家中に漂う見知らぬ誰かの気配が、一家を恐怖の淵に追い詰める。そして、とうとう死者が。この悪夢の先に待ち受けているものとは。
著者等紹介
神津凛子[カミズリンコ]
1979年長野県生まれ。歯科衛生専門学校卒業。2018年、『スイート・マイホーム』で第13回小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
180
妻と口論すると躊躇なく愛人宅に行き、若い女の体を貪る主人。イケメンが為に不貞を繰り返す夫も、妻には自慢の夫らしい。序盤のこの辺りでモヤモヤしてくる。イケメン夫が新居を構える。特殊な暖房構造を持つ暖かい家。中盤のこの辺りで先の展開が読めてしまう。家に潜む禍々しいものが、じわじわと幼子を妻を恐怖に取り込んでゆく。ホラーらしき要素は満載なのに、これが微塵も怖くない。突っ込みどころが多すぎて話に集中出来ない。そもそも全体の構成がどうしてこうなった、てぐらいの空中分解状態。ラストの衝撃シーンは取ってつけた様で不要。2023/08/19
absinthe
169
面白かった!犯人は幽霊なのかサイコパスなのか、得体のしれない影に纏わりつかれる恐怖。寒い地方で暖かい家といえば理想的。理想の家、憧れの家、だけどどこかオカシイ。理想の家族を持っているかに見えた主人公も妻を裏切っており、心にはどこか闇を抱えている気配。さらに進むと登場人物それぞれが、それぞれに闇を抱えていて…という少しずつ明らかになるにつれ恐怖の存在がそこかしこに。この流れは大好き。ところで、最後の2ぺージだけは蛇足だった気もするのだが…2023/07/10
アッシュ姉
91
念願のスイート・マイホームを建てたはずが、恐怖の我が家に。遊びに来た子供はさぞ怖かっただろう。設定や展開にはデジャブ感があるものの、不穏な雰囲気満点で一気に読了。「最後の一ページ、ここまでやるか」という石田衣良さんの帯コメントに大きく頷いてしまった。斎藤工さん監督、窪田正孝さん主演で来年映画が公開されるそうで楽しみだ。2022/07/19
あっか
75
文庫新装版カバーの「怖い!怖すぎる!恐怖の声続々!正にオゾミス!」にまんまと惹かれました^^嫌な人間って嫌だな…からめちゃくちゃホラー!?…からやっぱり人間が怖い!!という結論に。笑 五十嵐貴久さんのリカを彷彿とさせますね…うーん、でも途中の甘利視点のエピソードについては、犯人の正体(に読者は気付きつつも)については、明確な答え合わせは最後に読みたかった感がある。最後はめっちゃ嫌な結末。夫の兄、住宅会社、夫の不倫、夫の父…と色んな要素が絡まり合っています。家を建てる時は、担当さん選びは慎重に見極めよう…笑2022/03/08
yomineko@ヴィタリにゃん
68
長野県の冬は寒い。しかし、賢二と家族が求めた家は、部屋全体を暖めるロシアや北欧にある方式。これぞ理想の家だ!と住み始めるが、次々と異変に襲われる。ついには殺人まで起こるが、元々の根っこは賢二の妻、子ども達をも恐れぬ不倫だと思う!!!少し長すぎる感じもあるが、面白くて、そして怖かった。一番怖いのは賢二。嫌な男だなぁと思う(笑)2024/02/09