出版社内容情報
物語と絵で織りなす、魅惑の異世界へ。注目作家と人気画家が贈る、言葉と絵の玉手箱。美しき魔物たちが誘う二つの絵物語――「うらしま」「蓬莱記」を収録。
内容説明
「うらしま」海に出たまま姿を消した兄を追って、不思議な甕のなかへと迷い込んだわたし。謎の女に導かれ、たどり着いた竜宮城で待っていたのは―。「蓬莱記」何処とも知れぬ、人里離れた竹林のなかの宮に棲む即氏。午は陰翳のはざまの径を逍遙し、夜になれば異形のものどもが次々と訪れて―。物語と絵で織りなす、魅惑の異世界へ。美しき魔物たちが誘う、二つの絵物語を収録。注目作家と人気画家が贈る、言葉と絵の玉手箱。
著者等紹介
日和聡子[ヒワサトコ]
詩人、作家。著書に、詩集『びるま』(2001年、中原中也賞)、『砂文』(2015年、萩原朔太郎賞)、小説『螺法四千年記』(2012年、野間文芸新人賞)など
ヒグチユウコ[ヒグチユウコ]
画家。東京にてギャラリー・ボリス雑貨店を運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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柊渚
32
海で姿を消した兄の行方を追い、妹が辿り着いたのは招かれざる竜宮城。絢爛豪華な御殿は息を潜める中、懐かしい面影を宿した少女が問いかける「あなたは、だあれ?」妖しく幻想的な物語と蠱惑的な挿絵が織りなす、大人のお伽噺。『うらしま』は日本昔ばなしの『浦島太郎』を日和さんが独自にアレンジされたものなのですが、より妖しく、より不穏に。『蓬莱記』は最近読んだ折口信夫の『死者の書』を彷彿とさせるような、まるで夢を見ているかのような、誰でもない者たちの物語。幻想色が強くて、うっとり。2021/11/22
Yuri
16
『うらしま』『蓬莱記』の2作を幻想的な雰囲気で堪能。イラストも文体も素敵です。2021/10/17
ひろ
13
ヒグチユウコさんの装丁に惹かれて。著者の日和聡子さんは初読。「うらしま」「蓬莱記」の二つの話が収録されている。絵草紙との名の通りに格式高さが感じられ、一ページずつ丁寧に読まねばという心地が生まれる。フォントも特殊で良い。静かでほの暗い物語に、随所で添えられる挿絵。紙の本である良さが得られる作品だった。2021/10/20
豆電球
11
耽美な世界に浸りたくて手に取りましたが、読み物として普通に面白く、日和聡子さんの他の本も読んでみたくなりました。選ぶ日本語がとにかく好き。「蓬莱記」の、誰かであって誰でもないモノたちとのやり取りが心地よく、もっと永い間この空気の中に留まっていたいのになぁという気持ちです。短編である事が口惜しい。ヒグチユウコさんの装画はもう私が語る必要もないですね。絵と文の相乗効果ったらもう。2021/10/16
沙羅双樹
8
3月の初読本。表紙絵があまりにも好みだったので読んでみることにした。元々、日和聡子は文章が丁寧でリズムも心地よいことを知っていたので信頼していたのもあり、読了後、期待を裏切らないどころか、想像以上の完成度に驚いた。特に、ヒグチユウコの挿絵があまりにも妖艶で美しく、目を見張るものがあった。物語も、余韻の残る素晴らしい出来栄え。ページ数が短いので、気軽の読めるという点では再読にふさわしい一冊だった。2022/03/01