出版社内容情報
瀬戸内にある小島・葉名島の全校生徒七人の小学校に、臨時の先生がやってくる。体が大きく、やさしいまなざしの先生は、幼少期の病気が原因で口がきけなかった。島の大人の心配をものともせず、子供たちは、実直な先生との心の触れ合いを通して、生涯忘れられない絆を深めていく。柴田錬三郎賞を受賞した涙と感動の名作。
内容説明
瀬戸内にある葉名島の全校生徒七人の小学校に、臨時の先生がやってくる。体が大きく、やさしいまなざしの先生は幼少期の病気が原因で口がきけなかった。島の大人の心配をものともせず、子供たちは、実直な先生との心の触れ合いを通して、生涯忘れられない絆を深めていく。柴田錬三郎賞を受賞した涙と感動の名作。柴田錬三郎賞受賞作。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えみ
47
どうして?なんで?子供たちの無邪気な問いは、大人へ純粋無垢に「知らない」の剣を鋭く突き立てる。それを怒って誤魔化すか、宥めてはぐらかすか、真摯に向き合って諭していくか…。教育の難しさ、人の在り方を考えさせられる。島の小学校に臨時でやって来た先生は喋ることはできないが、子供たちから「機関車先生」と呼ばれる強さと正しさを持った先生だった。先生と島に生きる子供たちとの交流から見える本当の教育。育む力、人に好かれる人たらしの魅力。言葉で教えることだけが教育ではない、寧ろ言葉以外で伝えたことがずっと大切な気がした。2024/09/13
アマニョッキ
22
初めての伊集院静作品。伊集院静さんといえば夏目雅子と篠ひろ子を嫁にした稀代のモテ男という印象しかなくて、やっかみたっぷりで避けてきたんだけどこんなに瑞々しい文章を書く方だったんですね!体が大きく強くて優しい口が聞けない機関車先生と、瀬戸内の小島の小学校の生徒7人との交流物語なんだけど、とにかく上手い。色んな教訓が織りこんであるのに押し付けがましくなく、島の自然描写も本当に美しくてこちらまでゆったりした気持ちになれます。いや本当に読まず嫌いはよくないですね。伊集院静さんのおすすめ作品あれば教えてください。2024/03/14
mako
9
島にやってきた口のきけない先生と島の人たちとのふれあいが、真っすぐに澄んだ文章でつづられる。島の言葉が故郷の言葉なので、それも染み入った。2024/01/14
まっきーママ
4
瀬戸内にある離島でのお話。吉岡先生と子どもたち。校長先生、よね医師…。登場人物が活き活きとして魅力的でした。言葉はなくても、心は通じる…。本当の優しさ、強さとは何か。教育のあり方(インクルーシブ教育)とは…。様々な要素が押し付けがましくなく散りばめられていました。風景描写も素晴らしく、風の心地よさ、潮の香りを感じることができました。もしかして、続編の構想もあったのでは…と思いました。本当に惜しい人をなくしました。合掌。2024/02/01
mio
4
瀬戸内の離島の学校で起こる、夏の3ヶ月の出来事。漁業や農業で島が成り立つ現実的な部分も鮮明に描かれていて、綺麗なだけで終わらせないところが特に良かった。瀬戸内の島々は本当に美しくて大好きなのだが、そんな美しい情景がたっぷり伝わってきた。2023/05/14