出版社内容情報
似鳥 鶏[ニタドリ ケイ]
著・文・その他
石黒 正数[イシグロ マサカズ]
イラスト
内容説明
作者の仕掛ける“魔法”はこの本すべてにかけられている―「この短編集は『叙述トリック短編集』です。収録されている短編にはすべて叙述トリックが使われておりますので、騙されぬよう慎重にお読みくださいませ。」(読者への挑戦状より)大胆不敵に予告されていても、読者は必ず騙される!本格ミステリの旗手がその超絶技巧で生み出した、異色にして出色の傑作短編集!!
著者等紹介
似鳥鶏[ニタドリケイ]
1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
279
連作形式の短編と、その前に『読者への挑戦状』と題された注意事項の様な物。これですかねぇ。先ず、タイトルがね凡庸? いやいや、秀逸ですよ。このタイトルは味わい深いですねぇ。表紙の吹き出しにも、背表紙等での説明にも、執拗なまでに注意喚起されております。先ずは何より似鳥さんのジョークのゾーンをよく理解しておく事が肝要なのかも。素直な者程か⁉︎ 註も健在( ¨̮ )。何処迄も気持ち良く騙されました。満足。西村京太郎の十津川警部シリーズのキャラクターがエピソードにそっと添えられているのも佳し。2024/10/01
future4227
90
どうやら本の帯に仕掛けがあるらしいのだが、電子書籍で買ってしまったからわからないじゃないか。気付けばほとんど人が死なず、しょーもない珍事件ばかりなのだが、めちゃめちゃ謎めいていて簡単には解けないミステリーをもの凄く頭のいいオタク探偵がいとも簡単に解決してしまう。そして、この本の目玉は叙述トリックであることを最初に宣言してること。そうとわかっていても騙される、見破れない。あとがきでさえも気を許してはいけない。コミカルな会話でミステリー感があまりないけど、推理力より読解力が要求される面白ミステリーだった。2021/09/10
みゆ
89
初読み作家さん。叙述トリックが入ってます!と宣言した短編集。「騙されないぞ」と挑んだんだ結果…2話目大学の写真部の話だけは見抜けましたが残りは完敗でした(^-^; 見事なミスリードに「ヤラれたね」と思う一方、事件の謎解き本体が強引なのはご愛敬(^_-)-☆ でも面白い趣向の本でした。ガッツに敬意!がんばれ、似鳥さ~んヽ(^o^)丿2021/05/27
Ikutan
87
予め叙述トリックが含まれていますよと宣言していて、おまけに冒頭には『読者への挑戦状』としてヒントまで載せられていて、それで騙されるなんてと半信半疑でしたが、いやぁ、しっかり騙されました(笑)取り上げられているのは、何れも、「えっ、それって不可能なんじゃない?」と思える身近な謎。いつものように、所々に付けられた注釈とクスリと笑えるエピソードや会話。油断していると最後にそういうことかと。本の帯にも仕掛けあり。あとがきと種明かし、もう最初から最後まで叙述トリック満載、似鳥さんのこだわりが詰まった一冊でした。2021/05/09
オーウェン
69
叙述トリックをこうも大大的に宣言する作品も中々ないが、作者もすべての真相を見抜けるのは稀であるという挑戦状が。 叙述についても説明はあるが、その中で6つの短編とあとがきという構成。 実は冒頭の説明から種明かしのヒントがあるのだが、それはあとがきに載せる伏線でもある。 他作品で見たトリックもあるが、ラストに実はこうでしたと明かされるのは爽快でもある。 この6篇すべてに登場する人物がいるのだが、これの種明かしこそ一番のハイライトなのかも。 作者の他作品も見てみたくなる。2024/03/04