内容説明
九州の温泉街、小さな街の団地、ニューヨーク、台北、東京―残酷さと優しさが隣り合わせるパッとしない世界、それでも生きていくむき出しの人間たち。直木賞作家・東山彰良が新たに挑む、自由でボーダレスな短編集!
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年台湾生まれ。5歳の時に日本に移る。2002年『逃亡作法TURD ON THE RUN』で「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞しデビュー。09年『路傍』で大藪春彦賞、15年『流』で直木賞を受賞。16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞受賞。17年『僕が殺した人と僕を殺した人』で織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞の三賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
248
東山 彰良は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。タイトルからあまり期待せずに読みましたが、読み応えのある純文学的短編集、もしかしたら著者のMyBESTかも知れません。オススメは『猿を焼く』です。しかし子供に姉:亀山鳥(うた)&弟:亀山亀(すすむ)何ていう名前をつけてはいけません(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000349257 【読メエロ部】2021/04/04
みっちゃん
174
あの口もその口もこの口も。「お前かよ!」ツッコミの集中砲火を浴びる事必定。愚かしく無様で。でも一途。だから愛おしい。1番ガツンときたのは最終話『無垢と無情』とんでもない厄災に見舞われて、殆どの人間が死に絶えた世界で、かけがえのない人を喪って、罪悪感と孤独を背負い、それでも生きていくしかない哀しみと。「愛がなにかも知らないくせに!」だとしても、それが勘違いでも薄っぺらくても、認められなくても、「いつかまた会える?」またやってくる朝を待つ逞しさとが外に転がる骸から芽を出す季節の花々と重なって見える。2021/08/08
いつでも母さん
166
これは純文学的な?(って、その線引きは私にはよく理解できないが…汗)香り漂う久しぶりの東山彰良さん短編4話。インパクト大の『猿を焼く』が一番身近に感じたが、総じてタイトル(タイトル作は無い!)通りの印象だった。いつか言ってみたい言葉だ。『のたうちまわって超えていけ、愛』この帯に釣られたのだが、色んな愛がそこにあったのだなぁって感じで正直、私には合わなかったかな。2021/04/15
モルク
112
青春ものの4つの短編集。東山流の文体、言葉に溢れている。「猿を焼く」が好きだな。これと「イッツ・プリティ・ニューヨーク」は、うっすらと芽生えた愛、性に芽生えた頃のいびつでありある意味純粋であった愛のようなものを描く。4話目の「無垢と無情」は???よくわからなかった。東山さん、ごめん。2022/06/01
ずっきん
98
ハードル上げて挑んでも、軽く超えてくる信頼の東山印の短編4作。その文章は好みど真ん中をピンポイントで刺す。刺しまくる。そのまま物語にドボーンである。くわえて、陰惨に濁ってるはずの水中の視界の良さよ。驚く。『猿を焼く』の強烈なカタルシス。『イッツ・プリティ・ニューヨーク』の肩と同時に膝まで抜けそうになる感じ。『恋は鳩のように』は、極上の言葉で綴られるシットコム・ラブコメディ。笑って笑って、せつなくて、なに、この戦慄のラスト。ああ、日本に東山彰良あり! わたしがこの口で東山作品への愛を語りたい。2021/04/20