内容説明
「この旅のおかげでわかったの。本当に大切なことを見つけて、それに自分を合わせて生きるのって、すっごく楽しい」サッカー少女と小説家の叔父。ふたりは、利根川沿いに、鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。第164回芥川賞候補作。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
457
芥川賞候補作『最高の任務』に続いて、乗代 雄介、2作目です。第164回芥川賞候補作 既読3/6です。サッカー少女の姪と小説家の叔父(半分著者?)との鹿島巡礼の旅、独特の世界観の秀作、本作が芥川賞でも良かったような気がしますが、『推し、燃ゆ』に比べるとインパクトに欠けるからでしょうか? 東日本大震災の夜に、約20㎞歩いて家に帰ったことを思いだしました。2021/02/21
旅するランナー
288
手賀沼から鹿島まで。サッカー女子亜美ちゃんと小説家の叔父さん、途中出会ったお姉さんによる、ほんのりとした歩き旅。利根川沿いを行く、リフティングと風景描写の練習。大切なことに生きるのを合わせる大切さを学んでいく。文学(特に柳田國男)好き、サッカー(特にアントラーズ)好き、旅(特に神社仏閣)好き、自然(特に野鳥)好きにはしみじみと伝わる。でも、確かに伏線はあったけど、そんな終わり方しないでよ~。人生も練習できたらいいのにな。2022/06/23
いっち
220
小説家の主人公と小学6年生の姪の、練習の旅。旅は、千葉の我孫子駅から鹿嶋まで歩くこと。鹿嶋へ行くのは姪が借りっぱなしの本を返すため。練習とは、主人公は風景を描くことで、姪はサッカーのドリブルやリフティングをすること。旅の記録に、主人公が描く風景が入る。「練習の旅」なのに、なぜタイトルが『旅する練習』なのか(「詳しい感想はこちら。」のリンク先で考察)。終わりが決まっている旅を、主人公は記録する。丁寧な風景描写が、旅の終わりにつれて感情表現が増え、心の震えが浮き出ているよう。小説ならではの手法で書かれている。2021/01/16
まちゃ
175
芥川賞候補作、そして初読みの作家さんということで手に取った一冊。旅を通じて成長する快活な少女の姿と、意表を突く、なんとも不憫なラストが印象に残りました。コロナ禍で混乱した2020年の春。小学6年生のサッカー少女・亜美(あび)と叔父の小説家のふたりが、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指して旅した数日間の物語2021/04/01
おしゃべりメガネ
140
「芥川賞」候補作品のわりには読みやすく、すっとアタマ、キモチに入りやすい作品かなと。いい話ではあるのですが、なんかどこか寂しさみたいなモノを片隅で感じてしまいます。衝撃と言わないまでもラストがちょっと予想外の展開で、なかなか言い様のないインパクトをくらい、さらに読後感を微妙なモノにしています。コロナ禍の中、ちょっとした事情から鹿島にある物事を片付けに向かうサッカー少女と小説家の伯父の二人旅。そこに女性も一人加わり、なんともほんわかした旅の様子がステキです。サッカー少女「亜美」ちゃんのキャラが良かったです。2021/07/11