内容説明
江戸の小さな板元、宝来堂。なじみの番付屋、長助が作った「大福番付」が引き起こした騒動に巻き込まれ、とうとう自分たちで番付を作って売り出すことに。「手に取ったお客さんも、載った店も楽しめる」番付を作るため、皆で知恵を絞った秘策は「大福合せ」。画師・小春の鋭い舌と筆が、宝来堂の窮地を救う!
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年、東京都生まれ。2007年、「色には出でじ 風に牽牛」(書籍化にあたり『花合せ濱次お役者双六』に改題)で全選考委員からの絶賛を受け、第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー。著書多数。いま、最も注目を集める時代小説作家の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
128
時代小説説く特有の小気味いい登場人物あり、定番の人情あり、職人気質あり、波あり、それを乗り越える人々あり楽しく期待を裏切られず、面白かった。2021/04/21
タイ子
105
大福餅のお話ではありません。江戸で流行った庶民の娯楽、番付表の話です。小さな板元・宝来堂に番付屋の長助が騒動を持ち込んだ事から、宝来堂で番付表を作ることに。お店を守るしっかり者の夕、摺師と彫師を兼ねる政造、画師の小春。最初の番付として大福はどこの店が一番美味しいか皆で食べてもらい札を入れて順位を決定するというもの。今でいうB級グルメのやり方ですね。出店の途中で横やりも入ったり、スムーズに事は運ばないが、宝来堂の粋と度胸で何とか開催。たかが大福、されど大福、モチモチ感たっぷり…って大福の話になってる。2021/02/14
はる
92
田牧大和さんらしい作品。人情味と淡い恋心。読みやすく、登場人物も魅力的だ。「大福番付」を作ることになった小さな版元の物語。主人公の小春は鋭い味覚の持ち主。彼女が僅かな味の差を言い当て、相手を納得させる場面がこの物語の醍醐味。こういう展開は「美味しんぼ」みたいで痛快。今回は大福だけれど続編もありそう。2022/09/27
Aya Murakami
82
今は無き町の本屋さんで購入した本。 ガラの悪い手代が押しかけてくる…。かなりスリリングな出だしで大福の番付を始める印刷屋宝来堂。温泉に番付があるというのはNHKの知恵泉だったかな?で知っていたのですが様々なものにも番付があったらしい。今も昔も口コミ大好きな日本人なのですね。胡椒をつかった餡、意外や意外な組み合わせですが食べてみたい。たしか西洋との貿易で日本に入って来たのでしたっけ?だいたいは朝鮮半島に転売されていたらしいですけど。2025/01/11
真理そら
81
大福を二種類くらい準備してから読むべき本かも。「売られた喧嘩は丁寧に買う」美人女将・夕さんのキャラが良い。いい加減な番付ではなく根拠のある番付を作ろうとする物語。微妙な味の違いが分かる小春に他の料理番付もやってほしいけれどシリーズ物にはならないのかな。今もネットやマスコミは食べ物ランキングが好きだし人気もあるけれど恣意的な要素が混じることは当然ある訳で、最後は自分自身の好みの問題だよね。2022/07/02
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