出版社内容情報
2019年、9月。千葉県にある神宮総合病院では重症患者が次々と運び込まれた。共通するのは、脱水症状を伴う激しい腹痛。抗生物質を投与し、落ち着きを取り戻したかと思った後に突然高熱を発し、命を落とすという悲惨な結末もまた同じだった……。これは人為的な病気=バイオテロなのか。未知のウィルスに対し、援軍も知見もないまま孤立した病院内で医師達の決死の治療が始まる。
内容説明
2019年、9月。千葉県にある神宮総合病院では重症患者が次々と運び込まれた。共通するのは、脱水症状を伴う激しい腹痛。そして、抗生物質を投与し、落ち着きを取り戻したかと思った後に突然高熱を発し、命を落とすという悲惨な結末もまた同じだった…。これはバイオテロなのか。未知のウィルスに対し、援軍も知見もないまま、孤立した病院内で医師達の決死の治療が始まる。
著者等紹介
北里紗月[キタザトサツキ]
1977年埼玉県に生まれ、千葉県で育つ。東邦大学大学院理学研究科生物学専攻修了。理学修士。日本卵子学会認定胚培養士。体外受精コーディネーター。『さようなら、お母さん』が島田荘司選第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作となり、2017年にデビュー。医療ミステリーの新星として注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
189
「科学技術は人類に幸せをもたらすために存在する」未来永劫そうあって欲しいと願うばかりだ。「それが悪用されたとき、立ち向かう手段は人間の良心にあるという。」何と脆い。バイオテロなのか?コレラ症状にベネズエラ馬脳炎ウイルス…(ベネズエラ馬脳炎、初めて知ったがまだまだ未知のウイルスがあるのだろうな)神宮総合病院に隔離された皆に救いの手は?死者の数では計れない命の重さだ。利根川由紀シリーズの新作だが、ちょっと長い(汗)今のコロナ禍の状況を重ねてしまい気持は重苦しい。心から医療関係者に敬意と感謝をの思いだ。2021/01/20
nobby
171
シリーズ第3弾はタイトルそのままに現在を思わせる複雑な読み心地…下痢や嘔吐からの脱水程度の体調不良から突如起こる四十度近くの発熱や痙攣発作、謎のウィルスが身体を蝕む様に少なからず日々気にする情報と重なるのが生々しい…バイオテロ宣言下の病院で濃厚接触者となった彼女等はどうやって切り抜けるのか!?「唯一にして完璧な感染防止対策は、誰にも会わないこと。」何とも重い提言に唸る…感染の脅威が国家の陰謀あるいは私怨に起因するとは憤るばかり…科学技術は人類に幸せをもたらすために存在する、その信念をエゴにしてはならない…2021/03/31
茜
116
コロナ感染が収まりつつある現在ですが日本での最初の第一例は2020年1月16日でした。この患者は1月6日に武漢市から日本に帰国しており、1月14日に診断されたものでした。たった一人の感染から日本国中にコロナウィルスは広まったのです。とても恐ろしいことです。本書は未知のウィルスに対して私達はとても脆いということやどのような対処が必要なのかを教えてくれます。また現場のリアリティさもとてもよく描かれていて楽しめました。活躍した利根川由紀はシリーズらしいのでちょっと追いかけてみたくなりました。2021/10/09
モルク
103
千葉の神宮総合病院で発生した謎の感染症。コレラからさらに馬脳炎を発症して急激に悪化し死に至る。そして犯行声明が…これはバイオテロなのか。治療法もなく看護師、医師も疲弊しついには罹患する。天才毒物研究者の若き利根川由紀の洞察力と行動力のすごさが際立つ。そして解明されていく真実。科学化学が人の生活を進歩させるのは確かだが、その使用を悪用されるととんでもないこととなる。利根川由紀シリーズ第3弾であるが、前作の「清らかな世界の果てで」が未読なので是非読んでみたい。2021/04/24
Ikutan
91
利根川由紀シリーズ最新作。胃腸炎症状で入院した患者が、抗生物質の投与で改善しかけたと思ったら激しい脳炎症状を発症。検査の結果、コレラ菌と馬脳炎ウイルスが検出。同時感染はあり得ない二種類の病原体。動画サイトにはエンザイムKを名乗る者の警告が。これはバイオテロによる人為的な感染なのか。コロナ禍にこの内容はめちゃリアル。孤立した病院内で次々広がる感染。悲惨な状況の中、相変わらずマイペースの由紀に救われる。PCR検査の仕組みなど興味深く拝読。人類を幸せにする為に存在するはずの科学技術。人間の良心のみが支えなのだ。2021/01/30