内容説明
受賞間違いなし、と自信を持って推理小説新人賞に応募しようとした作品が盗まれてしまった!そして同タイトルの作品が受賞作に。時代の寵児になったのは、白鳥翔。山本安雄がいくら盗作だと主張しても誰も信じてくれない。原作者は執念で盗作者を追いつめる。叙述の名手の「原点」が、32年越しに完成!
著者等紹介
折原一[オリハライチ]
埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞“長編部門”を受賞。『倒錯のロンド』は、デビュー年の第34回江戸川乱歩賞に応募した作品が原型。その後、叙述トリックを駆使した本格ミステリーで話題作を連発する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
271
折原一さんの4冊目の作品ですが、1988年5月刊行の「五つの棺」より4か月前の同年1月に江戸川乱歩賞に応募して6月に惜しくも落選し翌年の7月に刊行された実質は第1長編です。素人作家の山本安雄は小説推理新人賞に応募しようと書き上げた原稿「幻の女」を友人に預けたのだが友人は迂闊にも電車の車内に置き忘れて紛失してしまう。彼は気を取り直してフルスピードで書き直して締め切りギリギリで応募するのだが受賞作発表の雑誌を見て愕然とする。原稿は自分の書いたままだが作家の名前が白鳥翔になっていたのだ。一級品のサスペンスです。2023/08/31
ナルピーチ
160
「盗作」と「倒錯」この読みは同じの2つの文字をキーワードに展開されていく物語。作家を目指す青年が書き上げた渾身の小説を巡って“原作者”vs“盗作者”の熾烈な戦いのゴングが打ち鳴らされる。最初から最後までとにかく作者の思惑どおりに誘導され、掌の上で転がされた感覚。これはたまらんね!最後は見事に倒錯させられた。未読の方に一言。最後の著者解説までしっかり読んで下さいね!初版刊行から32年経過しても色褪せない絶品の面白さ!折原先生の原点を垣間見れる一冊だ。2021/11/14
青乃108号
129
中盤からラストにかけて、恐怖を感じた。このままずっと物語が終わらない恐怖。あっ気が、これは気が狂う、と我が身の危険を感じたので深く読み解く事はやめて倍速で読んだ。それでもなかなか終わらないし終わると見せてまだ終わらないし、今度こそ終わりね、と思ってもまだ続くし、狂気じみた作家の「終わらせない」という執念は物凄かった。さらに恐ろしい事に「完成版」を出版するにあたってラストの部分をさらに付け加えたという。よりによってその「完成版」を読まねばならなかった我が身の不幸を呪う。2023/03/23
えにくす
107
★★★☆☆主人公の山本安雄が受賞間違いなし!と自信を持って推理小説新人賞に応募した作品。だが受賞したのは同じタイトルで同じ内容の、白鳥翔という別人。盗作だ!と怒る山本は、執念で白鳥を追い詰める。折原さんのブラックユーモアミステリが炸裂。それは無いだろ!というツッコミ処も満載。事件は終盤に、ドンデン返しの連続で驚く。この作品は32年ぶりに改訂された、完成版だ。旧版のエピローグの(終)の後に、「そして物語の本当のクライマックスへ。さあページをめくってください(筆者)」と有る。僕は恐る恐るページをめくった。。。2021/01/31
KAZOO
102
日本で1番の倒叙型ミステリー作家の折原さんの作品が完成版で出たということなので読んでみました。確かそれ以前に読んでいるはずなのですが、詳細部分は忘れてしまい楽しめました。が、後半はかなり様々な状況をつくりだしてくださるせいか訳が分からなくなりそうでした。最後の最後まで実名での作家さんが出てきて楽しめます。2021/12/17