内容説明
数年ぶりに再会した彼は変わらず優しく、変わらず左手の薬指に指輪をはめていた。それでも平日に面会を重ねずにはいられない二人。彼は週末までは、自分にくれるつもりはないから―(「おとなが恋して」)。理性で止められたら、それは本当の恋じゃない。甘酸っぱくてほのかに寂しい、12の大人の恋愛を描いた短編集。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部卒業。’82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。’86年『最終便に間に合えば/京都まで』で第94回直木賞を受賞。’95年『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、’98年『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞、『アスクレピオスの愛人』で第20回島清恋愛文学賞を受賞。2018年、紫綬褒章を受章。’20年、第68回菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のんちゃん
30
30年程前に読んだ作品、再読。多分、再読だと思いつつ、蜷川実花さんのカバー写真があまりに美しく購入。大人の恋愛短編集。林真理子さん、今は日大理事長としてお忙しい方で有名だが、その昔、私はこの方の著書をよく読んだ。それこそバブルの時代はおしゃれな小説として、その中でファッションやグルメ、華やかな恋愛を楽しめた。本書は1996年の刊行の新装版だが、相変わらずそこにはバブル時代を起想させる華やかな恋模様がある。政治経済に閉塞感のある今、今回の読書であの時代の活気や元気を思い出し、私の気持ちも少し華やいだ。2025/03/21
Kana
22
25年前に文庫化された作品の新装版。短編集で読みやすかったし、25年前の作品だけどあまり違和感なく読めた。大人の恋愛の話は林真理子さんの作品が好き。2021/04/27
ベローチェのひととき
21
妻から廻って来た本。大人の恋愛を描いた12編の短編集。読んでいて何となく覚えている作品が4編ほどあったので大分以前に読んだのだと思う。大人の恋愛ということで不倫や30代〜40代の恋の話であった。昭和から平成に代わる頃の話であるから携帯電話は出てこない。出かけてしまうと連絡を取れなくなってしまう。現代を見ていると、息抜きにそういうシチュエーションも必要ではと思う。2025/03/26
もぺっと
15
1996年発行の文庫本の新装版なので、携帯電話も一般的でなかったひと昔前の雰囲気。どの話も恋愛絡みの男女の機微が事細かに描かれていて、林さんらしい。短い話でも、それぞれぐいっと引きつけられるのはさすが。色々とバリエーションに富んでいて楽しめた。2021/11/20
Ciel
14
帯の「彼の、日曜日が欲しい」不倫しているわけではないがグっとくるので手に取った本。彼の、好きな人の全てが欲しいと思ってしまうのは、強欲たけど、よくわかる。結婚できないなら「恋を」と最初は思うけどやっぱりどんどん欲が出てきて難しくなる。まだまだ子供なのかな?と思う部分もあるが、これが自然なのかもしれない。2021/05/20