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内容説明
紫綬褒章受章作家・稲葉真弓がかつて「倉田悠子」の別名義で著した、『くりいむレモン』の絶品ノベライズ。百合ノベルの原点にして金字塔が、今ここに蘇る!ここは聖アザレア女子学園―厳粛なカトリック系の全寮制女子高校。転入生の小松崎リエは、生徒会長の上級生・早川なおみに見初められ、夜ごと繰り広げられる秘め事へと誘われる。ミステリアスな同級生・碧も加わっての、底知れぬ欲望の連鎖のなかで、少女たちの愉楽と悲哀が艶やかに浮かび上がる―。
著者等紹介
倉田悠子[クラタユウコ]
1980年代半ばから90年代初頭にかけ、『くりいむレモン』シリーズのノベライズをはじめとする“美少女小説”を数多く執筆する。代表作である『黒猫館』『続 黒猫館』は、2020年に『黒猫館・続 黒猫館』(星海社FICTIONS)として復刊された。作品多数。長らく覆面作家として活躍してきたが、2014年、紫綬褒章受章作家・稲葉真弓の別名義であったことを明かした。同年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐治駿河
39
古の官能小説(?)の復刊作品。文章や語彙は昭和っぽさが滲み出ていますね。昭和的なエロスがこの作品の魅力ではあります。内容は女学園の中で繰り広げられる百合を題材としています。序盤と終盤ではリエとなおみの立場(役)が入れ替わるあたりは、この物語の世界での時間経過が互いの立場や心情変化をもたらしそのようになったと考えると身体的なエロスだけでなく精神的なエロスが垣間見えるのでとても官能的に感じました。物語の展開として素直に面白かったです。2025/01/31
しまふくろう
24
表紙が可愛くて購入。挿絵は無かった。 物語は母親の浮気を目撃して男性不振になった女の子が女学院で色々あった話。どの家庭も拗れているものの、友人達との交流を経て前向きに受け止めたり乗り越えたりする女の子達が良い。成長した主人公がかつての先輩ポジションな感じになるのも面白かった。 主人公の父親が妻の浮気をどうしたのか、そこがちょっと知りたかったような。2020/12/26
羊山羊
14
只の百合エロラノベかと思いきや、早川直美の倒錯した激情に主人公リエも碧も読者もまとめて蕩かされる。なおみの父への想い、家族への愛憎はサイコホラーじみている。そんな彼女の支配欲がリエを艶やかに凌辱してゆく。百合エロラノベから人の支配ー被支配の関係を鮮やかに描いた1冊。はじめは被虐者だったリエが真理との3Pや時の経過を経るごとに、なおみが乗り移ったかのように加虐者へと変貌してゆく様は素晴らしい。大満足でした。2021/09/24
椎名
11
性行為があるからこその奥行きの出る作品で非常に面白かった。エピローグがまた効いていて、ただ逆転するだけではなく綺麗に継がれていく、どちらかが支配しどちらかが支配されるというだけではない二面性をしっかりと描ききっていたのが見事。2021/04/02
masabi
9
【概要】男性不信から女学校に転入した主人公リエが生徒会長や同級生、後輩と関係を持つ。【感想】上級生に対する憧れから肉体関係、次に精神的に更なる理解を深めつつ、最後には逆転する。神聖な学舎での秘め事が受け継がれる構図と思春期の少女達が交わりを経て各々の問題を解決し成長していく物語でもある。数十年前のアニメが原作のノベライズの復刊らしく凄いことだ。解説にある通り当初はレズ物、今は百合物として受け取られ環境の変化を感じた。2021/01/16