内容説明
テレビに映る飢えた子ども。給食費もはらえないおれん家。うちは貧しくないことになるのか?物語をとおして、SDGsがよくわかる!小学上級から。
著者等紹介
安田夏菜[ヤスダカナ]
兵庫県西宮市生まれ。大阪教育大学卒業。「あしたも、さんかく」で第54回講談社児童文学新人賞に佳作入選(出版にあたり『あしたも、さんかく 毎日が落語日和』と改題)。第5回上方落語台本募集で入賞した創作落語が、天満天神繁昌亭にて口演される。『むこう岸』(講談社)で第59回日本児童文学者協会賞受賞、貧困ジャーナリズム大賞2019特別賞受賞、国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」選定。日本児童文学者協会会員
黒須高嶺[クロスタカネ]
埼玉県生まれ。2008年からイラストレーターとして活動をはじめ、児童書、学習参考書などにイラストを提供している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
73
貧困問題は絶対的貧困と相対的貧困の両視点から考察する必要がある。①「ひもじさ」とは何か?を肌感覚として実感すること。②食物の生産、物流、販売などを通じて自然と人間の共生関係を学ぶこと。③貧困がもたらす問題点は何か?可処分所得から潜在能力の開発に限界が生じることを把握する。④貧困をなくすために何ができるか?ヤングケアラーの負担分担や子ども食堂など地域支援、貧困いじめ問題の考察など。何となくではなく争点を明確化したうえで取組む必要がある問題だと思う。2022/12/01
Comit
69
市立図書~世界の貧困、日本の貧困、身近な貧困を考える児童書。親の貧困が、学業の貧困に繋がり、学業の貧困が進学先を奪い就職先もなくなる。大人になっても思うような仕事に就けないとお金も手に入らず、自分の子供たちに貧しい暮らしをさせることになる…“貧しさは連載する”お話の中に具体的な事例や詳細な統計が挿入されており、とてもわかりやすい。娘のために借りた本ですが、自分が夢中になって読んでしまいました💦とても考えさせられる本です。2021/10/18
モモ
62
最近よく目にするSDGs「持続可能な開発目標」世界中の人々が、よりよい未来をつくるために国連で決まった17の目標なんだそう。今回は子どもの貧困がテーマ。飢えるほどではないが、1日の夕食に使えるお金は2人で500円。父は失踪中で母に負担をかけたくない妹は歯が痛くても言えない。日本の貧困率は15.6%。子どもの7人に1人が貧困状態にある。ひとり親家庭医療費助成制度などの制度を知らずに利用できないのは、何とかならないものだろうか。この本は、そうした制度も分かりやすく書かれている。多くの人に読んでもらいたい一冊。2021/02/06
ネギっ子gen
61
【どうせって言うな!】「もしもみんながアイスクリームをなめているのに、私だけ胃薬をなめてたら、もっとつらかったでしょう」。この戦争体験者の言葉が「相対的貧困」のつらさを浮き彫りにする。小学6年の坂本陸が、玄関の郵便受けからはみ出した<教育委員会 学校給食課>からの催促状を手にするところから物語が始まる。母・絵梨は介護士だが、腰をひどく痛めてから「パート」に。父は2年のときから行方不明。陸は学校から帰ると、米を研ぎ洗濯物を取り込み風呂を洗った後、妹・美波と二人分の夕食の惣菜を買いに行く。500円玉握って――2023/01/02
とよぽん
59
読友さんの感想で知った本。小学生・・・4年生ぐらいならわかるだろうか。「おれは、なぜ」と、ひとり親家庭のギリギリの生活に理不尽さと憤りを感じる主人公。疲労の限界まで働かなければ家計を維持できない崖っぷちのお母さん。9歳の誕生日を耐えがたい歯痛で迎えた妹。「みんなはアイスをなめている」に続く言葉を思うと、日本の貧困状況に胸が痛む。安田夏菜さんの文章は歯切れよく読みやすかった。2023/01/13