内容説明
マルコ・ポーロが見たスマトラの一角獣、日光東照宮に潜む霊獣、『山海経』のユニークな「怪」…。「むだで横道にそれた知識には一種のけだるい喜びがある」(ボルヘス)に導かれ、古今東西の書物に記された不思議な生きものをめぐる。あらんかぎりの想像力を振り絞り、異形を生み出し、また愛でる私たちのうちに「幻の獣」は棲む。滋味あふれる随想。
目次
1 一角獣―マルコ・ポーロが見たもの
2 アジアとヨーロッパ―幻獣という知の遺産
3 不思議な生きもの、不思議な人―狂気と文学のあいだ
4 幻獣紳士録1
5 幻獣紳士録2
6 百鬼の奇―日本の幻獣
7 霊獣たちの饗宴―日光東照宮の場合
8 中国の宝の書―『山海経』入門
9 私という幻の獣―寺山修司の夢
10 ゴーレムからロボットへ―二十世紀の幻獣
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940‐2019年。兵庫県生まれ。1965年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。神戸大学助教授、東京都立大学教授、東京大学教授を歴任。専門は、ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
27
タイトルに惹かれて読んでみたが…原本は1994年刊。まあ自分的には澁澤龍彦の劣化コピーでしかない。それなりの考察が進められる東照宮、寺山修司、ロボットの章はまだしも、単に羅列にしか思えないその他の章は読んでいて退屈。せめて図版が多ければただの羅列でももっと楽しめたと思うが…多分初読みだけど再び別の本を手に取りたいとは特には思わない。2021/03/02
bapaksejahtera
13
博学達識の著者が、ヨーロッパとシナの伝説や奇書を基に、随意に古今東西の空想上の生物を披露する。内容に脈絡はないが、最後は寺山修司やロボット(ゴーレムに祖型があるという)び話題に落ち着く。同じ新書で著者の「悪魔の話」を併読すれば著者の真意を理解できると、著者は最後に述べる。人間の想像力をたどる随想として楽しい読書であるが、カンブリア紀の進化的大爆発を考えると、著者の言う通り、人間の想像力など、神の御業に較ぶべくもないということであろうか。2024/10/28
とんこ
11
再読本。博識な作者の、古今東西自由に飛び回る思考の翼の上に乗っかって、いろんな世界を覗いてまわる感じの本 なんかあまり内容が覚えられないので読むたびに ヘェ〜ってなる2022/06/22
ハルト
10
読了:◎ マルコ・ポーロの一角獣に始まり、カレル・チャペックのロボットまで。昔から今から古今東西の幻獣たちを紹介している一冊。アジア・ヨーロッパ・中国・日本。人の空想を食して産み出された幻獣たちは、奇怪で奇妙な姿をしていながら、どこか愛おしい。心が惹きつけられる。人間の想像力の豊かさに愉快に浸れる。なぜ人は、こうした未知のものを産み出そうとするのか。そこがまた人間の不思議さでもあるなと思いました。2021/01/24
マッキー
9
「もっとも語りたかったのは幻獣そのものではない。これら奇妙な生きものを生み出した人間である。」この一言に集約されていると思う。2023/01/25
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