出版社内容情報
人間の不可解さを知りたいと思ったとき、私は「脳」研究を一生の仕事にすることに決めた――人気脳科学者が初めて明かす特異な半生。
内容説明
親との葛藤、少女時代の孤独、男社会の壁…人間の本質を優しく見つめ続ける脳科学者が、激しく綴った思考の遍歴。
目次
はじめに わたしは存在しない
1章 サイコマジック―2020
2章 脳と人間について思うこと―災害と日本 2010~2019
3章 さなぎの日々―塔の住人はみな旅人である 2000~2009
4章 終末思想の誘惑―近代の終わり 1990~1999
5章 砂時計―1975~1989
おわりに わたしモザイク状の多面体である
著者等紹介
中野信子[ナカノノブコ]
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
210
他者と対峙する時に現れる自己の外的側面、ペルソナ。過去に存在した事実の集積で人間はできている。本来持っている性格を自然に振る舞いたいという衝動は強制され続ける。何かが間違っているとき、ほとんどの人は自分のものさしが間違っているとは考えないように。…自分はこうだと認知すると、状況が変わってもなぜか無理して貫こうとする。そんな中では存在を失くすことしかできない。これは悲しいことではない。どんな姿にもなれる。集団に染まれない。気持ちが通じない。遠ざかって生きる。記憶の闇へと深く潜っていく。明暗入り交じる自叙伝。2021/11/21
パトラッシュ
193
人の心の闇を冷徹に腑分けしてきた脳科学者による、脳のあり方を第三者の目で見つめた自伝。まず現在の脳が考えていることを分析し、そこに至るまでのプロセスをさかのぼる。両親や社会との関わりから女としての苦しみの意味を調べ、さらに専門家としての知見や経験を重ね中野信子の脳=人格がいかに形成されてきたかを明らかにする。日本という特異な世界での生きづらさや終末思想の中毒性を自覚し、生きるためにコミュニケーション能力を磨こうとは、散々苦労してきただけに納得させられる。本書を中学時代に読んでいたら人生は変わっていたかも。2022/07/31
ねこ
191
脳科学者、中野信子の自叙伝。但し時系列は逆である。東京大学工学部応用科学卒でもあり、スーパー才女。基本ネガティブ思考であり本書を読む限り、幸せから離れた所に置かれていると感じた。題名の「ペルソナ」(他者に対峙する時に現れる自己の外的側面)は私のイメージでは仮面であり、中野信子の汎用型仮面を被る説明書が本書かな?と。以下、私が最も気になった箇所。わたしは存在しない。これは悲しいことではない。透明な存在であることを嘆く必要はない。だからこそ、来るべき変化に対応することができるからだ。もう変化のときは来ている。2022/06/18
徒花
150
まあまあおもしろかった。テレビのコメンテーターとして活躍し、著書もたくさん出している脳科学の先生が自分の幼少期から現在までを語る自伝。他の本とは異なり、自分のことを書いているからか、結構文章が難しい。あと、なぜか全体の構成として時系列が逆になっているのもなにか意図があるのか。本を書いたりテレビに出たりする理由、親族らとの葛藤などが赤裸々につづられていて、いろいろ苦労されてるなあと思う。2020/11/20
keroppi
104
自分の生きてきた時間を遡りながら、自分を見つめていく。人との違いを意識しつつ、人とのコミュニケーション能力不足を感じつつ、生きづらさを生きてきた。私自身も人とのコミュニケーションは苦手だった。「自分が興味を持っていることや、楽しいと感じることに取り組みながら、その人に与えられた生を生ききった者が勝ち、ではないか。生き延びること自体が、大いなる達成だ。」私も生きていこう。2021/07/24