出版社内容情報
三津田 信三[ミツダ シンゾウ]
著・文・その他
内容説明
得体の知れぬ何かに追われ、助けを求めて遺仏寺を訪れた由羽希。所有するだけで祟られるという「忌物」であふれた本堂で、住職の天山天空は彼女も忌物を持っていると告げる。何が起きたかをまるで覚えていない由羽希は、天空が調査をするあいだ毎夜寺に通い、忌物に纏わる怪異譚を聞くことになるが…。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
編集者を経て2001年『ホラー作家の棲む家』(講談社ノベルス/『忌館』と改題、講談社文庫)で作家デビュー。2010年『水魑の如き沈むもの』(原書房/講談社文庫)で第10回本格ミステリ大賞受賞。『首無の如き祟るもの』は『2017年本格ミステリ・ベスト10』(原書房)の過去20年のランキングである「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10」1位となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
129
…来た。たっ、たっ、たっ。だん、だん、だんっ。ぎしっ、みしっつ。がた、がた。がたがたがたっ。ひた、ひたっ。ばん、ばんっ。にゃぁぁぁぁっっ。…とぅるるるるぅうう。だから極力電話には出ちゃダメ!ぴいぃぃぃんんん…ぽおぉぉぉぉぉ…ん。怪しいインターホンもドア開けない様に!一度だけの「おーい」に答えちゃったら後ろ向きで怪異がやって来るよ!四夜に渡り語られた「まったく訳が分からん故に、物凄う気味悪うて怖い話」が最後の夜に全て繋がり明かされるのは上手い!この軽めの感じでシリーズ続くのなら黒猫先生の活躍があればよいな♬2022/08/16
KAZOO
114
先日加門七海さんのエッセイを読んで三津田さんの作品を読みたくなり比較的薄い新刊の文庫を手に取りました。最初からかなり不気味な感じを与えてくれます。何者かにお合われるように毎夜お寺まで通う女の子が、住職からその寺にある「忌物」(持っているだけでたたられるもの)についての話をされます。毎夕通いますが最後にアッと驚くような展開です。結構楽しめました。2020/10/29
ゆみきーにゃ
91
ホラーが読みたくて購入。三津田さんだったのでもっとゾクゾクするお話を期待していたのですがそこまで怖くなくてなくて残念でしたが、お話は面白かったです。2021/04/23
こら
73
まず、こんな物までも!?と驚く忌物という設定が秀逸。毎夜天空が語る忌物に纏わる怪異譚は、独立した短編としても読め、古典的な怪異からスプラッターまでどれも高水準。また作者らしく、どれが忌物=犯人なのか、といったミステリ要素もあり一粒で二度美味しい。最終夜は、怪異がいよいよ由羽希に迫りくる。ここで収斂する伏線と背景世界には唸らされるし、怪異との攻防の描写も素直に怖い。他作品で何回も読んだシチュエーションだけど、毎回手に汗握るのは流石!2022/08/25
キンモクセイ
70
由羽希は何かから追われているようだった。得体の知れぬ何か。〝砂歩き〟頭に浮かんだ言葉。遺仏寺を目指してひたすら歩いた。その寺は持っているだけで祟られるという「忌物」であふれた本堂。住職の天山天空は由羽希もまた忌物を持っていると言う。ただすぐには答えが出ない。暫く日が暮れる逢魔時に寺に通い天空が話す怪異談を聞くことになる。由羽希の身に起きた出来事は何か?「お母さんのように見える〝あれ〟は...早く逃げなきゃ...ぎしっ、みしっ...追いつかれる...ひた、ひた、ひたっ」〝あれ〟を中に入れてはいけない。2020/12/12