内容説明
シリーズ化して後世に残る作品と、続編が失敗して忘れられてしまう作品の違いは、「世界観IPになっているか」にある。作品が世界観IPになるためには、ストーリーが面白いことは大前提だが(=ストーリーIP)、さらに愛されるキャラクターを立て(=キャラクターIP)、その上でキャラクターが入れ替わっても魅力が失われないシステムを打ち立てる必要がある(=世界観IP)。世界観が確立すれば、作者が入れ替わり、時代に合わせて脚色してもIPは同一性を残して未来に受け継がれる。
目次
第1章 「キャラクターIP」と「世界観IP」
第2章 マーベル・シネマティック・ユニバースの軌跡
第3章 『スター・トレック』と『スター・ウォーズ』
第4章 日本のIP
第5章 僕自身が携わってきたIP
第6章 IPの勝利
著者等紹介
イシイジロウ[イシイジロウ]
ゲームデザイナー、脚本家。1967年生まれ。アドベンチャーゲームを中心に、さまざまな作品のシナリオ・監督・プロデュース・ディレクションなどを担当する。チュンソフトで『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』監督、『428~封鎖された渋谷で~』総監督などを務めたのち、レベルファイブで『タイムトラベラーズ』ディレクターなどを経て2014年に独立し、2015年に株式会社ストーリーテリング設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei-zu
11
著者によれば、作者のこだわりは、ときに「IPの広がり」を阻害する場面もあるとのこと。このあたりは難しいですね。「スタートレック」は「世界観IP」として関連作品が広がったのに対し、「スターウォーズ」はスカイウォーカー一族を巡る「キャラクターIP」にとどまってしまったとの指摘は、なるほど。2025/02/09
ようよう
3
読みやすい。甲子園は確かにシステムが世界観を形成していくらでも利用できて、コスパが良いね。日 2021/02/07
煮卵
1
作家よりはプロデューサー的な役割の人向けの本だったけど面白かった。ターミネーターシリーズがイマイチなのはストーリーIPだから、キャラクターもいいけどストーリーが良過ぎるとIPとしては長続きしないというのはすごくわかりやすい。スターウォーズはキャラクターと世界観でIP化が成功してるけど、ストーリーも強過ぎるから見ててヒヤヒヤすることも多いのよね…。とはいえストーリーを楽しみたいという欲求も需要も無くなることはないから、面白いストーリーを次々に作っていくしかないんだろうなあ。長く儲けるのには向かないとしても。2021/11/08
AQL
1
(1)強力なクリエイターがいないとコンテンツは生まれないが、強力なクリエイターがいるとコンテンツは続かない。クリエイターへの依存(属人性)を漸減してストーリーIP<キャラクターIP<世界観IPへと展開する(2)IPは知的財産権"intellectual property rights"の略。職場だとチザイって略すから念のため備忘(3)夏の甲子園は終戦(敗戦)のリフレインであり高校球児は「美しい敗北」というストーリーを求められるという指摘には目から鱗。2021/06/20
むなし
1
作品をIPとして続けていくには世界観IP、つまり世界観は同じだけどキャラクターは異なる、に落とし込むのがよいという話(ガンダム等)。しかし世界観IPに至るにはキャラクターIPを通る必要がある。キャラクターが愛されないと世界を愛してもらえないから。あとIPの最も幸福な形は作者が忘れ去られ、誰の手によっても創出可能なシステムになること、というのはなるほどと思った。2021/04/24