出版社内容情報
渡辺 公三[ワタナベ コウゾウ]
著・文・その他
内容説明
現代人類学の頂点に立つクロード・レヴィ=ストロース(一九〇八‐二〇〇九年)。ブラジルで現地部族の調査を開始した若者は、やガてヤコブソンの言語学に出会い、構造主義が産声をあげる。『悲しき熱帯』から『野生の思考』を経て『神話論理』に向かう豊饒な道―主要著作を時代背景の中で明快に描いた不滅の名著、ついに文庫化。
目次
序章 構造主義のエシックス
第1章 歴史の影のなかで
第2章 声とインセスト
第3章 旅の終わり
第4章 神話と詩のあいだに
第5章 幻想から思考へ
第6章 新石器のビルドゥングスロマン1―南半球の森から
第7章 新石器のビルドゥングスロマン2―北半球への旅
終章 「構造」の軌跡
著者等紹介
渡辺公三[ワタナベコウゾウ]
1949年、東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。立命館大学文学部教授、同大学大学院先端総合学術研究科教授などを歴任。2017年逝去。専門は、文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
49
シリーズの意図通り良い本でした。構造主義というとメカニズムの話かと思いきや、レヴィ=ストロースの仕事には様々な文脈があることが分かります。メルロ=ポンティ、ボーヴォワールと同い年で彼らと共にキャリアを重ねますが、レヴィ=ストロースだけは出世が遅く、彼の道草の多い人生がゆっくりで40代になってようやくモノになったことが素描されます。しかし、遅れてきたレヴィ=ストロースの仕事は、彼らが先行して時代をつくった実存主義の批判となっていることが分かります。実存主義が人間の内側に入る同一性の思想だとしたら、構造主義は2022/02/18
TM
2
「レヴィ・ストロース」や「構造主義」について,本格的に学びたい人が,その全体地図のようなものをとりあえず得るために読むべき本。人類学について専門に勉強したことがないので,個人的には非常に難解であり,全体の5%程度しか理解できていないと思うが,どの個所も非常に濃密な内容であることは分かる。構造主義だけを知りたいのであれば橋爪大三郎「はじめての構造主義」や内田樹「寝ながら学べる構造主義」の方が手っ取り早いと思うが,より濃密な世界への一歩を踏み出したいのであれば,本書はその知的好奇心に十分に応えてくれると思う。2021/01/27
竹鶴六
1
レヴィ・ストロースの生涯とその思考の変遷を丁寧に重ね合わせた一冊。どちらかといえば一つ一つの思考を追うよりも、全体の流れを把握することができる。ただ、途中の難解さは拭えない。ここまで読んで、レヴィ・ストロースの著作にチャレンジ!2023/05/04
kungyangyi
1
一倍速で聞き終わった。文字で読んでいたら挫折していただろう。分かっても分からなくても先に進んでいくところに,読み上げの利点がある。/レヴィ=ストロースに関する労作。こうやって解説してもらえると、ありがたい。2021/08/05