内容説明
本巻ではエックハルトのパリ大学教授時代の所産である「出エジプト記」と「知恵の書」の註解を扱う。「出エジプト記註解」では神の名(本性)をめぐる「神は存在である」という神名論の主題を「存在のアナロギア」により論究し、「知恵の書註解」では通常の範疇を超える超越範疇論を展開することにより、無と存在、善と悪などに見られる複雑な様相が解きほぐされていく。これらの註解をとおして神の存在概念がもつ豊穣さが論理的に明らかにされる。
目次
出エジプト記註解(「助産婦らは神を畏れていたので、神は彼女らのために、家を建てられた」(二一節)
「誰がお前をわれわれを支配する 監督や 裁き人にしたのか」(一四節)
「モーセはしかし羊の群を飼っていた」(一節) ほか)
知恵の書註解(「あなたがた、地を裁く人たちよ、義を愛せよ」(一節)
「単一な心で主を求めよ」(一節)
「聖霊は知性のない考えから遠ざかる」(五節) ほか)
雅歌註解(断片)(「私の霊魂が愛する人であるあなたよ、あなたはどこで憩うのか私に教えて下さい。また、私が最初迷うことのないように、あなたはどこで、真昼には、群れを飼うのか教えて下さい」(一章六節)
「私の霊魂が愛する人」(六節)
「あなたはどこで憩うのか」(六節) ほか)
著者等紹介
中山善樹[ナカヤマヨシキ]
1950年京都市に生まれる。1974年京都大学文学部哲学科卒業。1976年同大学院修士課程修了。1987‐89年、94年アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員としてケルン大学トマス研究所に研究留学。現在、同志社大学文学部教授。文学博士
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