内容説明
東京都内の一軒家で、おびただしい血痕と三つの左手の小指が見つかった。住人の高齢夫婦と客人のものと思われたが、死体はいっこうに見つからない。捜査が進展しない中で法医昆虫学者の赤堀は、解剖医と大幅に違う被害者の死亡月日を推定。さらに、同僚プロファイラーの分析は…警察ミステリーの決定版!
著者等紹介
川瀬七緒[カワセナナオ]
1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
このシリーズ6作目ですが今回は昆虫というよりも、どろどろした人間関係が引き起こす殺人事件です。主人公の父親との関係も初めて語られます。主人公も落ち込んだりしますがこの作家の作品を読んでいると内容はかなり暗い感じがするもののさらっと読んでしまいます。昆虫もあまり出てこないのですが珍しい昆虫で周りにいたら厭だという気持ちになりました。2020/12/14
ゆいまある
94
血塗れの事件現場、ウジがびっしりついた指から始まり、腐敗した遺体と大量の虫、虫、虫に見事な伏線回収までの流れ。いつも通り楽しめる。のだが、精神神経センターのそっくりさんまで出てきてそれっぽいものの、アルコール依存症の描き方が古過ぎる。更にヴィーガンや食品添加物が悪意を持ってデフォルメされててやだなあ。息子をここまでベジにする女がノンベジの男と付き合う訳無いだろ、普通。面白いことは面白いんだけど、無理なこじつけが今回も多い。岩さん離婚は赤堀と接近の前触れだと思ったけどラブ要素なし。うーん。次作に期待。2021/01/23
五右衛門
74
読了。このシリーズ面白いですよ。しかも今回のテーマがアルコール依存症からのベジタリアン依存症(菜食至上主義)。このカテゴリーに辿り着くまでは全く五里霧中の捜査。虫たちの声、現場状況は後半の謎解きの答えを指しているにも関わらず。中弛みも全く無くズイズイ読まされました。けれども余りにも犯人たちの異常性が怖すぎました。けれどもこのシリーズ追いかけ続けますよ。このコンビも気になります。2022/03/12
ナミのママ
64
<法医昆虫学捜査官シリーズ>6作目。今回はなかなか赤堀涼子が出てこないので巻頭、退屈してしまった。かわりに久しぶりの鰐川刑事の登場。そして事件を解決に結びつける虫に、新しくやけど虫が登場。想像するだけで毒々しい姿と強烈な毒虫。思わず鳥肌が立つぞっとする場面。赤堀のプライベートや過去が新たにわかり、これが今後、どうなっていくんだろう?文庫で追いかけているので、次作まで待とう。2020/09/12
sin
61
死体のない血塗れの殺人現場…僅かに残された被害者たちの3本の指の蚕食の違いに法医昆虫学者の抱いた疑惑が事件を掘り下げていく、念願叶って所属することとなった『捜査分析支援センター』の同僚プロファイラーとタッグを組んで先の見えない捜査に協力するが組織の理解は未だ遠い、今回の注目昆虫は最近被害が増えてニュースで話題になったあの“やけど虫”…その体液に触れると水ぶくれになってしまうが、意外や日本全土に分布していると云うので注意が必要…そしてその“やけど虫”が告げる真相とは、捜査の裏をかく物語の結末に注目だ。2020/09/08