内容説明
鈴木善幸総理の突然の再選不出馬表明を受けて行われた自民党総裁選は、中曽康弘の圧勝に終わる。一方、強行出馬し4位と惨敗した中川一郎は、謎の自殺を遂げた。昭和58年10月、東京地裁が田中角栄元総理に懲役4年の実刑判決を言い渡すと、中曽根総理は衆議院解散・総選挙を決意する―。
目次
第1部 鈴木退陣(焦る善幸;比例代表制に揺れる;中曽根、田中に急接近;公選法改正の裏事情;行革難航;総裁選へ各派始動;日干しになるぞ!)
第2部 戦後政治総決算(突然の退陣;四者決戦;中曽根圧勝;中川、謎の死;角栄失速;日本の活路;大宰相時代の黄昏)
著者等紹介
さいとう・たかを[サイトウタカオ]
劇画家。1936年、和歌山県生まれ、大阪府育ち。17歳で描いた『空気男爵』でデビュー。上京し、「さいとう・プロダクション」設立。1968年『ゴルゴ13』連載開始。2003年に紫綬褒章、2010年に旭日小綬章受章。2019年東京都名誉都民に選出
戸川猪佐武[トガワイサム]
1923年、神奈川県生まれ。早稲田大学政治学科卒業。読売新聞社政治部記者を経て、政治評論家として活躍。『小説吉田学校』は戦後政治を生々しく活写し、ベストセラーとなった。1983年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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forest rise field
14
このシリーズの完結。印象深い中曽根総理大臣の活躍。国鉄や専売公社、電電公社が民営化される前まで。最後の大物政治家といった感じの人だった。兵役を経験し、大正・昭和・平成を経て令和まで101歳を生き抜いた。つい最近まで生きていたなんて信じられない。2020/08/19
highig
12
( ^ω^)土光臨調にロンヤス関係。三公社民営化実現等、一定の成果を挙げた行政改革と国防政策の深化を特徴とする中曽根政権の途次で原作者 戸川猪佐武が急逝し本作は閉じた。名著『小説吉田学校』に鈴木政権後を加筆し、劇画として再編成した本大作が未完のままに世を去ったのは、さぞ無念の事と思う。首相とは首席宰相・・・宰相という言葉の重み。竹下登以下、所謂ニューリーダー達の政治指導力はタイトルである大宰相の名には遠く届かないお粗末なものだったので、せめて最後の宰相たる中曽根康弘まではしっかり描ききってもらいたかった。2021/05/17
スターライト
4
鈴木善幸と中曾根康弘の二人の首相が登場するが、中曽根は後半200ページちょっとで、ほぼ鈴木政権が中心。したたかというよりはこれまでの首相の中では一番覇気の感じない鈴木は、彼なりの考えで総裁選への出馬を断念。行革が使命と考えていたが、選挙制度改革のみの実現に終わり、中曽根政権では行革のスローガンともいえる「増税なき財政再建」は風前の灯火となる。原作者の死によりここで終わるが、なかなかしんどい読書だった。2021/12/14